もうひとつの趣味も「コピー」からはじめた。
実は大学時代から料理好きで、たまに友人にふるまった。そして2010年頃、男性料理ブロガーブームがあり、これに乗った。
「中でもケンタロウさんが好きで、真似てました。ベースと一緒で、コピーですね。真似ているうちに腕があがってオリジナルに進む」
男子でもカンタンにできる、おしゃれなごはん。そんなメニューがウケ、ヤスナリオさんのブログは人気となった。出版社から声がかかりレシピ本を出すほどに。音楽も好きだと知られると、ある日『ロックのレシピで新著を出さないか?』と声もかかった。得意の即快諾。ただ条件がひとつあった。
「ヘヴィメタルに絞ってなら、と。ロックじゃなくて、僕はメタル好きだから、振り切りたかった」
こうして上梓されたのが『メタルめし』だった。料理好きよりもメタル好き。書店というよりヴィレッジヴァンガード好き。そんな界隈で、熱狂的に支持された。
曰く「料理勉強家としてはやりきった感すらあった」という。
「じゃ次は? と考えたらライブかなと。飲食店を開き、直接お客様に味わってもらおうと思った」
2015年、こうして『高円寺メタルめし』は生まれた。場所は元カラオケスナック。お客さんとメタル談義がたやすくできる狭小サイズが好みだった。メニューは趣味を爆発させた。『マスターオブナゲッツ(マスターオブパペッツ)』『パインキラー(ペインキラー)』『リッチー・スナックピザ(リッチー・ブラックモア)』……。
重い(ヘヴィ)というより“ゆるい”のだが、それも味だった。
もっとも、当初は苦労した。
料理は自信あり、メタルの話は何でもついていく優等生だったが、飲食店経験はなかったからだ。
「お客さんに言われた料理を絶え間なくつくりながら接客するのが、こんなに大変なのかと。ただメタルファンはみな一途で優しい方が多いから、大目に見てくれた」
今では笑い話だ。すでに店は11年め。飲食店としても優等生だ。高円寺に来たら寄ってみてほしい。メタル好きも美味しいもの好きも、そしてダジャレ好きも。きっと楽しめるはずDEATH!
メタル好きの料理勉強家がつくった、個性丸出しレストラン

カウンターのみの6席。オープンキッチンでヤスナリオさんの美味しい料理とメタルトークや雑談を、ゆったりと楽しめる。「BGMはメタルですが、会話の邪魔せぬ音量に抑えてあります」

食器の多くは北欧製。「おしゃれだし北欧メタル好きなので」。ギター風のまな板もいい感じ。


オーナーのヤスナリオさんは、料理勉強家として、何冊もレシピ本を出している方。中でも大好きなヘヴィメタルをモチーフにした一冊『メタルめし!』出版が、この店誕生のきっかけに。

「とはいえ……実はヘヴィメタルにまったく興味ないお客様も多いんです」とヤスナリオさん。