俳優として活動するかたわら、YouTubeチャンネル「ひよりの虫日記」で虫の可愛さや面白さを発信する片田陽依(21)。チャンネル開設から1年足らずで登録者は10万人を超え、“虫プロデューサー”として注目を集めている。『クレイジージャーニー』では、虫を愛でる姿から現代のナウシカ”とも称され、放送後には虫に対するポジティブな反応も多く寄せられたという。
だが、片田さんが虫好きを公にするようになったのはここ最近のこと。かつては「虫が好き」と言えない時間を過ごしてきた。虫の魅力を伝えるため15歳で上京した片田に、幼少期から現在までの“虫人生”を聞いた。〈前後編の前編〉
虫は、“自分で出会いに行ける存在”だった
──『クレイジージャーニー』の放送後、反響はありましたか?
片田陽依(以下同) かなりありました! 見てくださった方に、虫の魅力や、虫の顔の可愛さに気づいてもらえて。少しずつ夢が叶っているような気持ちです。
──スタジオでVTRを見ていた小池栄子さんが、最初は戸惑いながらも、最後は虫に対して「かわいい!」と反応されていたのが印象的でした。「ナウシカだ!」とも言われていましたね。
小池さんのリアクションには本当に救われました……(笑)。テレビって、虫に対して「気持ち悪い」と反応することが当たり前になりがちな場所でもあるので。あんなふうに「かわいい」と言ってもらえて、本当にありがたかったです。
──虫好きとして活動するようになったのは、YouTubeを始めたこの1年くらいなんですよね。
そうです。もともと俳優になりたかったというより、虫の魅力を広げたいという思いが、芸能活動を始めたきっかけでした。
でも、事務所のお考えや、周りの人の声もあって、それまではずっと、虫が好きであることを隠しながら活動していました。自分の好きなものを好きだと言えない環境にあったことは、すごく悲しかったです。虫の話をすると耳を塞がれてしまうこともありましたし、虫が好きだと言うと、虫の悪口大会が始まることもあって……。
──そもそも、虫に興味を持ったきっかけは?
これといったきっかけはなくて、物心ついた時から好きだったみたいです。両親が言うには、0歳の頃からいろんな動くものに興味を持つ中で、最初は蝶に興味を持って、そこから図鑑を読むようになって、図鑑で見たものがその辺に暮らしていることを知って……そんなふうにどんどんハマっていった感じです。イノシシとか猿なんかが出るような山の方に実家があって、自然と触れ合うには、本当にいい環境で育ちました。
──虫を探す場所にも困らなかった?
家の周りに自然がたくさんあったので、外に出れば何かしら生き物がいる環境でした。犬やインコも飼っていたので、生き物全般が好きではあったんですけど、その中でも虫は、自分の手で捕まえて、持って帰って、飼育できる存在だったんです。
犬や猫は親にお願いしないと飼えないけど、虫は自分で出会いに行ける。そこから、昆虫の生態にもどんどん興味を持つようになりました。
「虫が好き」と言えなくなった中学生時代の孤独
──ひいおじいさんとは、特別な関係だったそうですね。
ひいおじいちゃんは、私より90歳以上年上だったのですが、親戚の中で、なぜか私のことだけを「陽依さん」と、さん付けで呼んでくれていたんです。もう歩けなくなって車椅子に乗っていることも多かったんですけど、私はまだベビーカーに乗っている年齢だったので、なんだか同じ子どもみたいな扱いで(笑)。
虫好きになったきっかけではないんですけど、人が大好きで、謙虚な人だったので、自分の人格形成には大きく影響を与えてくれた人だと思います。
──虫好きであることを隠すようになったのは、いつ頃からですか?
中学生くらいからですね。周りの女の子たちの虫に対するネガティブなリアクションがあまりにも強くて。気持ち悪いとか、見ただけで悲鳴をあげちゃったり……。私にとって虫は本当に大切な存在で、可愛い友達であって、ペットであって、家族でもあるのに、そういう扱いを受けていることに違和感がありました。
あと、虫が好きだと言うと、「変な子だと思われたい子」みたいに見られてしまうところもあって。思春期だったので、周りの目を気にすることも多かったですし、普通でいることが一番楽だなと思って、そこから自然と隠すようになりました。
──自分の中では大切なものなのに、それを出せないのは辛いですね。
虫が好きなことに、自信というか誇りはあったんです。でも、それを話すことで周りの人に嫌な思いをさせたくないという気持ちもあって。だから、できるだけ虫の話題を避けるようにしていました。自分の好きなものの話をできる場所がないというのは、かなり孤独でしたね。

