15歳で上京、部屋の壁一面が虫かごに
──上京したのは、芸能活動がきっかけですか?
そうですね。中学卒業後、15歳で上京して一人暮らしを始めました。
──15歳!? その年齢で一人暮らしは、かなり大きな決断ですね。
もちろん大変なことも多かったです。コロナ禍だったこともあり、 どこにも行けず、 授業 もオンラインのことが多くて。 でもその分、 自分の好きなことをとことん追求できる環境 でした。 早いうちに一人暮らしをしたことは、 いい経験になったと思います。
──ご両親を説得するのも大変だったんじゃないですか。
大変でした。母は心配性なところもあって、中学生の頃はどこに行くにもちゃんと報告しなきゃいけないくらいだったんです。でも次第に私のことを一人の人間として見てくれるようになって。自分にはやりたいことがあって、そのためには東京に行かなきゃいけないということを話して、最終的には応援してくれる形になりました。
──今も部屋で虫を飼ってらっしゃるんですよね。
今はたぶん20種類くらい飼っていますね。カマキリ、 カミキリムシの幼虫、 トンボの幼虫、ゾウムシ、 ハチなど。 ゴキブリも2種類飼育しています。たくさんいる種類だと、 ひとつのケースに100匹200匹いるような状況なので、 匹数にしてみるととてつもない数になると思います(笑)。
──すごいですね……。
部屋の壁一面が虫かご、みたいな感じです(笑)。みんな私の大切な家族です。
──飼い方はどうやって覚えていったんですか?
私は2、3歳くらいから虫を飼育していたんですけど、その頃は本にもそういうことは書いていないし、まだ字も読めなかったので、体感で覚えていきました。虫を見つけてきたら、その辺にある葉っぱを全部同じ虫かごに入れて、どれを食べるんだろうって観察したり。虫同士の関係性を知りたくて、いろんな虫を同じ虫かごに入れて、どういうふうに関わり合うのかを見たりしていました。
「あくまで主役は虫」
──虫好きを公表できるようになったきっかけは?
1年と少し前ですかね。Instagramでこっそりと虫専用の裏アカウントを作って、虫の写真や動画を投稿していたんです。ある日、蚕(カイコ)の動画を投稿したら、TikTokやInstagramなど合わせて1000万回くらい再生されて、100万いいねくらいついて。
それでリアクションを見ると、「かわいい」というコメントがとても多かったんです。一般的に虫は嫌われていて、虫が好きな女の子なんて私くらいしかいないんじゃないかと思っていたのに、女性も男性も関係なく、たくさんの人が「かわいい」と共感してくれました。
それを見て、「やり方次第で、虫を好きになってもらえる可能性はいくらでもあるんじゃないか」と、虫好きだということを公言してもいいかなと思えたのがきっかけですね。
──「虫プロデューサー」という肩書きは、どういう思いでつけたんですか。
虫の可愛さを、裏方として届けていきたいと思ったんです。虫専用のアカウントがバズった時も、虫の魅力をプロデュースできた気がして。私自身のことよりも、虫の可愛さとか魅力とか、昆虫の周りで起きている社会的な問題に目を向けてほしい。「虫プロデューサー」という肩書きも、そういう思いを込めてつけました。あくまで主役は虫なんです。
──昔は話せなかった虫の話が、今は活動の中心になっていますね。
そうですね。昔は虫の話をする場所がなくて、ずっと孤独だったんです。でも今は、虫の話を聞いてくれる人がいる。虫を可愛いと言ってくれる人がいる。それだけでもとても嬉しい気持ちです。
後編に続く
取材・文/キムラ 撮影/稲垣謙一

