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「中国に対して突っ張ったり…それは愛国とは違います。保守はそんなことしなくてもいい」野田聖子議員が証言、自民党で幼稚な保守思想が蔓延り出したのは2000年代の野党時代で

「中国に対して突っ張ったり…それは愛国とは違います。保守はそんなことしなくてもいい」野田聖子議員が証言、自民党で幼稚な保守思想が蔓延り出したのは2000年代の野党時代で

高市早苗政権は衆院選で歴史的な大勝を収め、いま党内から異論はほとんど聞こえない。かつての自民党は違った。小泉純一郎政権の絶頂期でさえ、郵政民営化や政策金融改革を巡って激しい党内論争が繰り広げられ、政権と党がせめぎ合っていたのである。自民党はいつから「議論する政党」でなくなったのか。そして幼稚な保守思想が蔓延り出したのなぜか。

ノンフィクションライターの森功が林芳正、野田聖子へのインタビューを手がかりに、小選挙区制の導入や政界再編、民主党政権を経て進んだ自民党の変質のあり様を探る。

一強政権に漂う不安

自民党は先の衆院総選挙で選挙前の198から118も議席を増やし、316と飛躍的に勢力を広げた。おかげで高市早苗政権は衆議院議員の絶対安定多数にあたる3分の2どころか、連立相手の日本維新の会を合わせると与党で4分の3という絶対的な議席を得る結果になる。議席獲得数で見ると、自民党史上はもとより終戦後の単独政党として最も多い。

選挙結果が高市旋風かどうかはさておき、内閣支持率もずっと高い。共同通信の6月の世論調査で61.3%から55.8%へと5.5ポイント下げた以外、さほどの変化がない。

高市内閣の発足以来最も低い数字を弾いてきた毎日新聞でさえ、5月の50%から51%とむしろ上向いている。陰では「50%を割ると急落するのではないか」(内閣官房の官僚)という声もあるが、自民党議員からの表立った政策批判はほとんど聞こえてこない。

では高市政権で大丈夫かといえば、政官界はそう感じていない。食料品の消費税減税しかり、皇室典範や個人情報保護法の改正しかり、強引な国会運営が目立つ。

それだけに政権の危うさがつきまとい、仮に高市政権が倒れた場合、誰が次を担うか、という話題も尽きない。現総務大臣の林芳正は、真っ先にその名が挙がる実力議員の一人だ。高市評を尋ねた。

「今に限らず、これまでの政権は常に様々な評価がなされてきました。政府と党の関係でいえば、政高党低だとか、あるいは逆に党高政低だとか。安倍晋三政権、石破茂政権のときもさまざまに言われてきましたが、私は岸田文雄政権の後半(2023年12月に官房長官に就任)から官邸にいたので、なかなか肌で党内の雰囲気を感じることができていません。

党の部会などに加わっていれば現状についてもう少し話ができますが、今も閣僚として閣議で総理の隣に座っていますからね」

柔らかい口調で自嘲気味にこう切り出した。

小泉政権でも異論は消えなかった

「そのうえで強いていえば、元来の自民党は政策上の異論がぶつかり合うようなところでした。たとえば冤罪を生んだ再審制度を見直す刑事訴訟法の改正案を巡っては、法務省案に対して党内で稲田(朋美)さんをはじめとした論が噴出しました。

以前の自民党ではあのようなことは珍しくなく、日常茶飯事でした。とくに思い出すのは、小泉純一郎内閣のときです。あのとき私は党にいたから、それを肌で感じました。小泉内閣で打ち出した政策金融の改革は、必ずしも政権の一大イシューでなく、自民党もそれ一色でもありませんでした。だからここでも反対意見が出た」

自民党は独裁政権、人気絶頂の内閣総理大臣の時代にあっても、異論を抱える懐の深さがあった。強く林の記憶に残るのが小泉純一郎政権時代だという。

小泉は内閣支持率が8%前後に急落した森喜朗の退陣を受けた2001年4月、「自民党をぶっ壊す」というキャッチフレーズとともに首相に昇り詰めた。前号に書いたように山崎拓、加藤紘一とともにYKKと呼ばれた党内の有力議員ではあったけれど、常に3番手扱いで、首相になるとは政界の誰もが予想していなかった。

このときの自民党総裁選でも、小泉は森派、加藤派、山崎派の支持を取り付けていたものの、そこに竹下派の流れを汲む党最大派閥の経世会が立ちはだかった。いわゆる派閥の壁を打ち破ったのが、国民的な人気の高い田中眞紀子の応援であり、小泉人気は小泉旋風と表現された。

結果、総裁選で小泉が最大派閥を率いた橋本龍太郎をうち破り、小泉が首相に就く。ある意味、ここが日本のポピュリズム政治の始まりといってもいい。反面、自民党内は小泉一色にはならなかった。

そしてそれまで自民党の中心にいた最大派閥の橋本派を意識した小泉は、構造改革と称する金融再編を打ち出す。小泉政権で象徴的に語られる郵政民営化もその一環といえるが、それだけではない。

終戦後から高度経済成長期にかけて日本復興のエンジンとなってきた政府系金融機関もまた民間の都市銀行などの業務を圧迫していると批判され、小泉構造改革のターゲットになる。

小泉首相直轄の諮問機関である経済財政諮問会議が小泉構造改革の音頭を取り、欧米の市場開放圧力とともに政府系金融機関再編の必要性を訴えてきた。だが、実のところ党内には根強い反発もあった。

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