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スキーヤーでも知らないスキー製造の世界【第1話 潜入編】

スキーが生まれる「コの字型」ルート

ようやくここで板作りの工程を見てみる。
上記の流れはプロトタイプの制作が終わり、量産品の制作段階での工程だ。

ブルーモリスの工場は歩く道筋どおりに、それぞれの工程が準備されており、コの字型の工場に入って、出てくると製品化した板が生まれるという流れになっている。

今回、私は里村さんに弟子入りして、板の組み込み作業をすることになっている。初日に私が覚えるべき、一番重要な作業だ。
’組み込み’はスキー製造工程の要であり、部材を正確かつ素早く金型のなかに組み立てていく行程を指す。

ちなみに、この時なぜ私は”素早く”金型のなかに組み立てていかなければいけないのか、ということを理解していなかった。これは後にやってくる非常に大きな失敗へとつながるのだ、その話はまた次回。

どうやら、’組み込み’作業を明日は私一人でやらなければならないらしい。そのために、実際にその様子を里村さんがどうやっているのかを見せてもらう。

「あ、ふーん。なるほど、なるほど」

よくわかってないヤツが取る相槌を私は打っていた。手際のよい職人さんを見ると、なんだか簡単そうに思える。だが、実際にやっていることは、いまいちよくわかっていない。

「大丈夫、順番通り置いておいてあげるから、設計図通り重ねてくだけだって」

ニコニコと微笑む里村さん。それなら大丈夫じゃね? と思って聞いていると

「まぁ、おれが準備するし、もし不良出したら、ブッ—―笑」

……あれ!? なんか物騒なことも言ってる。「ブン殴……」と続いても「ブッ殺……」と続いても物騒だ。笑顔の裏が怖いタイプの人なのだろうか。緊張感が走る。

脳みそ完全パンク! 泣きながら猛勉強した青森の夜

途方にくれる気持ちを海を眺めながら冷ます

以上の内容が、初日におおよそ説明されたことを、数日かけて質問と回答のやり取りを経て補完した内容だ。
正直、研修初日を終えて、工場を出た後、陸奥湾に落ちる夕焼けを見て「あーきれいだなー」と脳をクールダウンしたくなる気持ちはわかるだろうか。

わかればわかるほど、わからないことが湧き出してくる。

というか、わかっていることが、本当にわかっているのかすらも謎。ようやくまとめられた状況でもこれだ。マジでなにもわかっていないやつが、脳に詰め込む情報量じゃない。

そして、それとは別に技術的な部分、2日目の組み込みの工程なんて、もはや忘れ始めている。パンク状態の頭と、不安でしかない精神。

私は、とりあえずフォトグラファーが記録してくれた写真を見ながら、ノートに走り書きした情報、スマホで撮った動画と写真を見ながら、まとめを作ることに奔走した。

ホテルはなんとチェックインから21時までお酒を含めたドリンク飲み放題という、酒好きには天国のような環境だったが、一滴も飲まず青森の夜は更けていくのだった。

第2話 板組み編へ続く

ブルーモリス https://bluemoris.com/ 

Photo by Hodaka Ando

配信元: STEEP

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