何でもハラスメント化する昨今、上司や先輩は部下にNGを言いにくくなっている。フリーランスとして最高月商2000万円を記録したことのある大坪拓摩氏は、「今や自分で自分を育てなければ、成長できない時代」という。しかし、自己批判ばかりでは自分を責めすぎてしまう。そこで、楽しく自分の改善点を見つけられる3つのアイデアについて、『自分で自分を育てる戦略書』(かんき出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
誰もNGを指摘してくれない時代の弊害
「相手のためになりそうだけど、いろいろリスクがありそうだから伝えるのは控えておこう」という経験、みなさんも一度や二度じゃないはずです。
残酷に感じるかもしれませんが、これが現実、というか人間同士のコミュニケーションにおける当たり前です。
誰も指摘してくれない時代、最も危険なのは「自分は正しい」と思い込んだまま突き進んでしまうことです。
たとえばプレゼンの後、上司に「よかったよ」とほめられたり、同僚に「わかりやすかった」と言われたりしたとします。
でも、それは本当に「よかった」のでしょうか。もちろんよかった可能性もあるでしょうけど、単に「波風を立てたくない」からそう言っているだけの可能性も同じくらいあるはずです。
僕たちは「建前の称賛」に囲まれて生きています。飲み会後に「今度また誘ってください」という社交辞令を言うのは常識ですし、「検討します」が実質的な断りであることもよくあります。
僕たちは日常的に「本音」と「建前」を使い分けていますし、当然相手も同じことをしている。にもかかわらず、この建前を真に受けて「自分はできている」と思い込んでしまう。これこそが根本的なボタンの掛け違いです。
心理学では、こうした現象は「ダニング=クルーガー効果」として知られています。能力が低い人ほど自分の実力を正確に把握できず、過大評価しやすい傾向があるとされています。だから、他人のお世辞も本音と受け取ってしまうのです。
一方で、能力の高い人は自分の実力を正確に把握できるので、結果として自分を特別視しない傾向があるとされています。
だからこそ、十分に自己批判ができておらず「自分はできている」と思っている人ほど、実は危ない。自分で自分を疑わなければなりません。
「本当にこれでよかったのか?」
「もっとよくできるところはなかったか?」
「相手は本音を言ってくれているのか?」
この問いを、当たり前にする。
上司が言えなかった「それ、違うよ」を、自分で自分に言う。
調子に乗りそうな自分にダメ出しをする。
それが「セルフ鼻へし折り」です。
①鬼コーチ召喚
最もシンプルな鼻へし折り法は、自分の中から「もう一人の厳しい自分」を引っ張り出すことです。僕はこれを「鬼コーチ召喚」と呼んでいます。
具体的には、その日の仕事が終わったら、「今日の自分は100点満点で何点だった?」と鬼コーチキャラを内側から引っ張ってきて、自問自答してみるのです。
このとき嘘をついたり、ごまかしたりするのはNGです。
たとえば、「まあ70点ぐらいかな」と思ったとしても、そこで終わらせてはいけません。「残りの30点は、何が足りなかったのか?」「どうすれば80点になれたのか?」というところまで掘り下げて初めて意味があります。
もし「100点だった」と思った日があったら、その日こそ疑うべきです。
100点だと思っているときほど、見落としがあるものです。
「本当に100点か? 見逃していることはないか?」と問い直してください。何かしらの改善点を見つけ出すのです。
ハーバード・ビジネス・スクールの研究によると、1日の終わりに15分間の振り返りを行ったグループは、振り返りをしなかったグループに比べて、約20%以上高い成果を出したそうです。
「振り返り」は、才能ではなく習慣。
やるかやらないかの差でしかありません。
ちなみに僕は、できるだけリアルタイムで振り返りを行うようにしています。セミナーで講師として登壇しているときでも、「今ミスったな」と思ったらすぐにメモを残しています。
1日の終わりにその日のことを振り返る方も多いと思いますが、そのやり方はおすすめしません。なぜなら、時間が経つと忘れてしまうからです。
たとえ当日のことであっても、1日に起きたことやその日ミスしたことを、すべて記憶しておくのは不可能です。
まとめて一度に振り返りをしたほうが効率的に思えるかもしれませんが、本当に重要な改善点を見落としてしまう可能性が高いという意味では、まったくコスパに見合わないと思います。

