「俺、今日一番頑張ったから…」と9万円を手にして
14日に証人として出廷した川村葉音被告は、川口被告について「リーダー的な人で、『どこ行くぞ』とか行き先を決める人。中心的存在だった」とし、公園で最初に暴行を始めたのも、川口被告だったと証言した。
「川村被告によると、川口被告は『言葉で説明しろ』などと言って長谷さんの顔を拳で殴り始めたそうです。暴行は全員合わせて100回以上に及び、川村被告の記憶では川口被告が50~60回、当時17歳の少年が60~70回ほど暴行を加えていたそうだ。
さらに、長谷さんの服を脱がせ、仰向けに倒れている長谷さんの頭を17歳の少年と左右から交互に蹴るといった残虐な行為も行なっていたという。川口被告はこれらの川村被告の供述にときおり顔をしかめ、首を振るなど不服そうな様子を見せていた」(前出・事件記者)
自らが暴力を振るうだけでは飽き足らず、「やれ」などといって川村被告や瀧澤被告に暴行を促した川口被告(本人は否定)。検察が示した調書では、川口被告が長谷さんの頭髪を燃やすなどの暴行を加えた際、動画を撮った理由として『楽しい雰囲気を残すため』と語っていたことが分かっている。
「川村被告によると、暴行後に長谷さんのキャッシュカードを使ってATMで金を引き出した際、川口被告は『俺、今日一番頑張ったから』と言って9万円を手にしたともいいます。川村被告らの裁判で明らかになった事件後のLINEのやり取りでも、川口被告は『お疲れ様、今日は楽しく終わったと思います』などと送信していた」(同前)
長谷さんの死因は外傷性ショック。解剖医によると、外傷性くも膜下出血、腰椎の骨折などの重傷を負っており、腎臓損傷などで血液の20~30%が失われていたという。
だがこれまで見てきたように、その後の川口被告の言動は、人の命を奪うほどの暴力を振るった後とは到底思えない、あまりにも軽薄なものだ。
冒頭で紹介した「俺は殺していない」「誰かが“トドメ”を刺した」という言葉も、無責任さを物語っている。
「自ら進んで暴行したのではなく、川村、八木原に指示された」
15日に行われた被告人質問の冒頭。川口被告は「言葉の一つも交わしたこともない見知らぬ被害者に、歪んだ正義感で被害者の人生と命すべてを奪い本当に申し訳ございません」と遺族に謝罪。
「自らの暴行の内容を詳細に語り、逃げようとする長谷さんの首根っこを倒し、顔を踏みつけるなどの暴力を振るったと認めた。しかし、暴行を止めなかったことについては、長谷さんが謝罪するたびに八木原被告に『血が出てる、もういいんじゃない?』と聞いたが、『まだやって』と言われたからだと語った。
川村被告も『これくらいやられる罰がある』と言ったので止めなかったと語り、暴行を続けた理由として、川村被告や八木原被告に指示されたからだということを強調。川村被告の証言とは逆に、『事件の中で指示を出したことは一切ない』とも語った」(前出・社会部記者)
14日の裁判では川村被告も、川口被告が「まだやんなきゃいけないの」と言うのに対し、八木原被告が「許してないからもっとやって」などとけしかけていたことを明かしていた。「八木原被告がやめていいと言っていたら、川口被告は暴行をやめていたと思うか」と尋ねられると、「やめていたと思います」とも答えている。
一方で、検察は証拠の音声に川口被告の「もうやめよう」といった言葉は録音されていなかったと指摘している。
「事件発覚後のグループLINEでも、八木原被告が出頭したことを受けて、川村被告が『ボッコボコのめっためたにしてやる』と言えば、川口被告も『俺も連れて行け。ヤキ入れたい』と応じるなど、八木原被告に対し憎悪を募らせていた。
17歳の少年も『捕まったのも亜麻、止めなかったのも亜麻、言ったのも亜麻、やりたい放題』と八木原被告にすべての責任を押し付けるような発言もあった」(同前)
今回も裁判の争点は量刑だ。川村被告らの判決から推測されるに、「主導的な立場だったか」と「暴行が死に寄与した度合い」が判断材料になってくるだろう。
無責任な少年らの「歪んだ正義」に司法はどのような判断を下すのか。川口被告の判決は8月7日に言い渡される。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

