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「今回は一緒に作った」黒夢が90年代“超不仲時代”の名盤をリテイク 50代の自分たちにできて、若い世代には“できない”こととは

「今回は一緒に作った」黒夢が90年代“超不仲時代”の名盤をリテイク 50代の自分たちにできて、若い世代には“できない”こととは

「今は一番距離感がある」MVに込められた想い

――リテイクしたときに「よくこんな曲を自分でもやっていたな」と思うことはありましたか。

人時:「我が出ているな」というのは、今聴いてもすごく感じます。中でも、自分でも頑張ったなというのは、演奏的に言えば「Sick」ですかね。

――それぞれのアルバムには、ボーナストラックとして、2010年~15年に再結成した時にリリースした「13 new ache」と「I HATE YOUR POPSTAR LIFE」のリテイク版が収録されています。この2曲を選んだ意図はなんでしょう?

清春:今もライブでやるかもしれないということで収録。黒夢ファンの人たち、なかなか新譜を聴いてくれないな、というのはすごく強く感じているんですよ。だから、ボーナストラックなんですけど、「こういうのがあったんだよ」という歴史がわかるきっかけになればいいなと。

――「I HATE-」は、復活後のライブでも披露される回数が多いと思います。思い入れが強いとかあるのでしょうか?

清春:いや、特にないです。さすがに古い曲ばっかりだと自分たちも飽きちゃうんですよ。

(2013年に)出した当初、ライブでは反応が薄かった。そこから10年経って、今回復活して演奏して、そこからさらに1年経って、徐々に、どれぐらい盛り上がるのかなって様子を見てやっている感じ。

まあでもね、「I HATE-」も「13 new ache」も、お互いそこまで思い入れはないんですよね。

――えっ! そうなんですか!

清春:昔の曲も半分ぐらいは思い入れはないですよ。

――人時さんもそうですか。

人時:当時の『CORKSCREW』を作ったときは、年間で120本ぐらいライブをやっているわけで、つまり120回、同じ曲をやっているわけですよね、ワンツアーで。

10数年前のツアーでも多分50本とかやっていますよね。だから、思い入れ云々じゃなくて、やり慣れている…みたいな感覚にはなりますよね。

清春:曲は“知っている”よね。若いときに重点的に勉強した科目みたいな感じじゃないかな。思い出さなくてもわかるというか。

――『Drug TReatment』のアルバムから「NEEDLESS」をミュージックビデオに選んだ理由は何だったのでしょうか。シングル曲でもある「Like @ Angel」が代表曲の一つでもあると思うのですが。

清春:「NEEDLESS」は当時からファンの子から人気が高かったし、アルバムの曲順的にも「Like @ Angel」につながるというのが僕らの中ではあって。

歌詞が若いときのことを歌っているので、今は一番距離感があるんですよね。だから、一番別の感覚、別の角度でも捉えられるかなという感じがしたんですよ。

「こんなことを思っていたんだけど、今はどうなんだろう?」という。それは、僕ら自身に対してもそうだし、ファンの人に対しても、「どうやって生きてきたの?」と問う感じを、MVを撮ったらよりわかりやすいかなと。「Like @ Angel」もMVを撮りたかったし、まぁ撮るかもしれないね。

人時がリテイクで衝撃を受けた黒夢の曲

――「NEEDLESS」のMVでは歌詞がすごく印象に残る作りになっていますが、やはり言葉を出したいという面が強かったのでしょうか。

清春:そうですね。今の時代、僕ら90年代、ナインティーズについては、ベテランというか、古いという捉え方もあるじゃないですか。それは、僕らも先輩に対して思うことですけど。

だけど、世代関係なく唯一の共通項として、日本語がある。若い子たちでも「字は読めるでしょ?」って。黒夢が、何を歌わんとしていたか。

現代には、どんどん丸くなっていくエンターテインメントがある。僕らが何の規制もなく音楽を作っていた頃、テレビで何を言うか歌うかもほとんど自由だった頃。

「NEEDLESS」は言葉だけ見ると、そんなに尖っていないんだけど、ロックバンドの歌詞って、本当はこうだったんじゃないか、というのも同世代の人たちが思い出してくれたらいいし、若い人には「なんだこれは」と思ってもらってもいい。

言っていることは、ある種、幼稚でもあるけど、それを50代の大人が、堂々と歌詞を出している感じを変に思ってもらえたらいい。普通はもっと大人っぽく感じさせるアプローチをしていくと思うんですけど、そこは気にしていないですね。

――当時歌っていたときの感覚と、今歌っているときの歌詞に対する思いは違いますか。

清春:違いますね。だって、「大人から逃げたくて」って言っても、今の僕らの方が全然大人なんですから(笑)

――ファンの方たちはどう聴くと思いますか?

清春:多くの人は当時と比べて聴くと思うんですよね。で、そしてそれは、この30年間を生きたということ。

この年齢になって、僕らもそろって、再びプレイして録れたというのもすごいし、それを無事に聴けた人たちもすごい。肉体的にもすごいし、聴ける状況に精神があったということもそう。その気持ちの若さ、気持ちのある部分が老いなかったというところは、すごいと思う。

これが、若い子たちには一番できないことですよね。若い子たちには“30年後”はあっても“30年前”はないんだからさ。

――人時さんは、清春さんの歌詞を一番近い場所で聴いてきたと思うんですけど、好きなフレーズはありますか。

人時:え、聴いてきたかな…?(笑) 歌詞というと少し違うかもしれないけど、今回、曲を制作しているときに歌を最初に聴いたのが「LAST PLEASURE」で、それを聴いた瞬間に、「すごく追い込んだんだな」と感じましたね。

今の自分が出そうと思っていること、その尖り方やニュアンスの出し方、行ききっている感じが、自分が想像していたよりもはるか上にあった。まさかここまでしてくださるとは、というか。

清春:ほぉ。

人時:それを聴いて「もう大丈夫」みたいな気持ちになりました。そこが今回一番衝撃的。歌を録音している現場には行っていないんですけど、聴いただけで想像がつくというか、いや、自分が想像していたよりもすごかったんですけどね。

清春:変わったことはわかりやすいよね。お互いが成長して、スキルもついたこととか。

後編では、50代になった現在の2人の関係性、清春が感じる人時の存在の大きさ、そして“終わり”を意識しながらもなお求められ続ける黒夢について聞いた。

取材・文/ライター神山

◆リリース情報
リテイクアルバム
『CORKSCREW 2026』
『Drug TReatment 2026』
2026年7月15日(水)同時リリース

◆ライブ情報
【黒夢 THE PERFECT DAYS TO DIE】
2026年7月17日(金)TOYOTA ARENA TOKYO
2026年7月18日(土)TOYOTA ARENA TOKYO
2026年7月19日(日)TOYOTA ARENA TOKYO
2026年9月6日(日)東京GARDEN THEATER

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