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「みんなが旬のことで生きているわけではない」黒夢・清春がたどり着いた“新しい曲をやる意味がない”の境地

「みんなが旬のことで生きているわけではない」黒夢・清春がたどり着いた“新しい曲をやる意味がない”の境地

「多分、一番“威力がない”のは最新の曲だと思うんです」

清春:新譜は作ろうと思えば作れる。でもやったら、絶対に「前の方がよかった」となる。それって“時間の魔法”でしかないんだと思うんです。僕自身、外タレを観に行って「新しい曲をやってほしい」とは思わない。それと同じように、黒夢の歴史やキャリアには別の魔法がある。

だから、その魔法を消してまで新しいことをやるのは、よっぽど状況が整ったときでないと、やってはいけない気がしていて。

結果的に、僕らは2011年と14年に新譜を2枚出しているので、出せないわけではないと証明してるし、むしろ今やっていることは逆なんですよ。今やっと新たな旧譜を出してる。セルフカバーをね。10数年前の新譜もいずれ少しずつボディブローのように効いてくるとは思うので。

今は、『CORKSCREW』と『Drug TReatment』の曲をやった方が盛り上がるし、シングルを沢山やった方がいいとは思います。でもZeppクラスだと、『Headache and Dub Reel Inch』(2011年)や『黒と影』(2014年)の曲をやっても、少しは盛り上がる。

作為的ではないんですけど、それを少しずつ延ばしてはいきたい。「I HATE YOUR POPSTAR LIFE」や「13 new ache」、当時出した、「アロン」や「ミザリー」もそうですけど、古くからあった魔法とは違う第二の魔法になっていくんじゃないかなと願っています。

多分、一番“威力がない”のは最新の曲だと思うんです。なぜなら、僕らが最新の人間ではないから。僕らの前には30年ある。で、この先30年ある人たちではなくてね。ただ、その思いは今も乗せていける。

僕がそれを理解できなかったのが10年前、20年前だったんだと思います。というか、理解できていても年齢的に体現したくなかった。今、最初の活動休止から20年以上経って、やっとその神秘性のような魔法を信用できてる感じかな。

ガンズなんて、ずっと「Welcome To The Jungle」が1曲目じゃないですか。ほぼ必ず。でもそれを観たい人がいる。それがレジェンダリーだということなんだと思います。

日本はキャパシティも狭いし、ロックの歴史も長くはないですけど、僕らが憧れていたような、規模や歴史の大きいバンドに、どこかで我々もなりたいわけですから。

――「時間の魔法」という話でいうと、今あらためて新曲を作ることについては、どう感じていますか。

清春:新しい曲を聴いて、それが良いか悪いかという評価自体が、もう日本には時代的にもなくなってきたように思いますね。

TikTokとかで流れて良い曲かどうかわかるというのは、音楽ではないと思っていますから。人気があるのは、フレーズが覚えやすいかどうかだけで、それは、スナックや飲み屋でママが瞬間的に面白いことを言ったのを覚えているようなもので、それは文化でもない。

僕らの90年代にはまだ、文化があったので。今のTikTokでの音楽とかを否定するわけではないけれど、歴史の長いバンドとかは、それに寄り添わなくてもいいんじゃないかと思います。

特に、黒夢は昔から、1998年頃だって時代に寄り添っていなかったのに、2026年になって寄り添う必要もないなって。

国民みんなが旬のことで生きているわけではない 清春が50代で感じること

――そういう意味では、最近の流行りの曲や音楽シーンとは、かなり距離を置いて見ている感覚なのでしょうか。

清春:「今この人がすごいんですよ」とか、「この番組がすごい人気なんです」「このアニメがどう」とか、よく言われるじゃないですか。でも僕らからすると、関係ないですし、知らないと。

人時:僕は多分、清春さんより知らないですね。

清春:でも音楽をやって生きていける。国民みんなが旬のことで生きているわけでは決してないんですよ。旬の情報で生きているのはごく一部なんです。流行りの曲調も、我々には関係ない、うちのファンにも関係ない。

僕らも昔だったら再生回数や、今でいう登録者数のようなものを気にしていたかもしれないですけどね。でも続けてくると、なくてもできるということがわかる。

――最近のインタビューや発言では、「ライブでこの場所に来るのは最後かもしれない」「黒夢の今後は周年のときだけかも」といった、終わりを意識する言葉も多い印象があります。ただ、実際には黒夢は大きな会場で求められていて、過去最大規模日数のアリーナ公演も控えています。終わりを意識する感覚と、周囲から求められている感覚。そのギャップについてはどう感じていますか。

清春:僕は今回のアリーナも反対していたんですよ(笑)。ただ、昔より明らかに人の意見を取り入れるようになりましたよね。昔なら絶対に取り入れてなかったので。アレンジャーもそうだし、マネージャーもそうだし、お互いについているローディーの意見も取り入れたらいいと思うようになっている。

アリーナ3日間も、Zeppツアーも、ほんとなら絶対にしたくなかったんですから(笑)。でも、やりましょうと言われているのは、幸せなことなんですよね。そこで楽しさを感じてくれている人たちがいるということだと思うので。

それに、僕はまだ当時の黒夢のファンの人たちに全然会い切れていない気がしているんですよ。もう音楽を楽しむ事から離脱してしまった人たち、何処か人生を達観してしまっている人もいると思うんです。音楽が人生に必要ないというか。

でも、もう1本、もう2本ライブがあって、それを知ってくれることがあれば、もしかしたら来てくれるかもしれない。その可能性をわずかに感じながらやっているところはあります。

地方とか行くと、みなさん必死でありながら、どこかで達観しているんですよね。打ち上げをした小さな居酒屋に、何十年も毎日揚げ物をしているような大将がいて、テレビもラジオも接するから「昔聴いてたよ」と言ってくれる。

その人に「大将、ライブ来てよ」とは言えない。土日なんてかき入れ時だし、ライブよりお店の毎日があるわけだから。

ただ、微妙な層もまだいて、もしかしたらライブのことを知らないだけかもしれない。40代でもネットを見ない人はいるし、ライブをしていたら、そういう人に届くかもしれないなって感じますね。

取材・文/ライター神山

◆リリース情報
リテイクアルバム
『CORKSCREW 2026』
『Drug TReatment 2026』
2026年7月15日(水)同時リリース

◆ライブ情報
【黒夢 THE PERFECT DAYS TO DIE】
2026年7月17日(金)TOYOTA ARENA TOKYO
2026年7月18日(土)TOYOTA ARENA TOKYO
2026年7月19日(日)TOYOTA ARENA TOKYO
2026年9月6日(日)東京GARDEN THEATER

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