帰り道のベンチで
あの日から、俺は残ったお弁当を持ち帰る前に、1人で片づけることに決めました。妻が変わらず作り続けてくれるなら、せめて空の箱を返したい。そう思ったのです。
1人寂しく、冷めきったご飯を街灯の下のベンチで少しずつ口に運びます。それでも、あの人が落ち込む顔を見ずにすむなら、俺にはそれで10分でした。箱を空にして立ち上がるたび、帰り道は少しだけ長くなりました。
そして...
妻は今も、俺のお弁当を詰めてくれます。空になった箱を差し出すと、あの人は少しうれしそうに笑います。その笑顔さえ守れるなら、冷めたご飯くらい、なんてことはありません。全部を打ち明けられる日がいつか来るのか、それはまだわかりません。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
