まもなく迎える「海の日」。例年なら大勢の海水浴客でにぎわうはずの神奈川県藤沢市・江の島周辺だが、7月1日の海開き後も客足が本格化していないという。梅雨明けの遅れと猛暑は、夏の海にどのような影響を与えているのか。現地を訪れ、観光客や地元住民、海の家のスタッフに話を聞いた。
海開き後も客足は鈍く…梅雨明け遅れと猛暑に揺れる客足
昨年、関東甲信地方では6月28日ごろに梅雨が明けたが、江の島へ取材に訪れた7月16日時点で、今年の梅雨明けはまだ発表されていない。
日本気象協会は、太平洋高気圧の張り出しが弱く、湿った空気の影響を受けやすい状態が続いているとして、関東甲信地方の梅雨明けを三連休明けの7月21日ごろと予想している。
一方、梅雨の晴れ間には厳しい暑さが続いている。不安定な天候は、海水浴場や海の家の客足に影響をおよぼしているようだ。
藤沢市在住の会社員、サトシさん(仮名・26)は、子どもの頃から、多い時には週3回ほど江の島を訪れているという。この日は、1人で日焼けをするために海岸を訪れていた。
「今日は結構カンカン照りだったんで、仕事終わりに焼きに来ました。だけど、着いた頃には曇ってしまったので、もうちょっと太陽が出てほしいですね。僕はバイクで来れる距離ですが、わざわざ電車を乗り継いで来ている人たちはかわいそうだなって思います」
晴れ間を期待して訪れても、急な天候の変化に左右される海水浴客。こうした不安定な空模様や厳しい暑さは、海の家の客足にも影響しているのだろうか。片瀬西浜海水浴場にある、約3店舗分の広さを持つ海の家「Ao×Shiro Resort」で働く、地元住民のテルさん(仮名・50)は、今年の状況をこう語る。
「インバウンドは増えましたが、お客さんの8割ほどは日本人です。昨年の同じ時期と比べると、体感では客足が3割ほど減っていますね。
今年に限らず、ここ数年は暑すぎて、海に来ても屋外で長く過ごしにくいため、近くのショッピングモールなど、涼しい屋内施設に人が流れてしまうんです。ただ、うちは100人単位の団体客にも対応できる広さがあるので、団体予約は入っています」
客足が鈍るなか、海の家の営業戦略にも変化が見られる。同エリアで開店3年目を迎える海の家「beach bright」で働く、都内出身の男性スタッフ・レイさん(仮名・23)が、今年の客足と集客に向けた取り組みについて明かしてくれた。
「今年は梅雨明けが遅いせいか、お客さんの数が少なくなっていますね。それでも、海開き以降、都内の知り合いや、去年仲良くなったお客さんがリピーターとして来てくれました。海の家には飲むことを目的に来る方も多く、スタッフも一緒に楽しませてもらっています。初めてでも入りやすいように、少人数であれば当日でもBBQに対応するなど、工夫しています」
「海の中まで追いかけてきた」客足減でも残るナンパと迷惑行為
一方、別の海の家で働く地元出身の女性・アズサさん(仮名・25)も、人の少なさを感じつつも、客を呼び込むための営業が一部で過熱しているとみる。
「コロナが明けたばかりの年は、平日でも歩けないくらい人がいて、各店舗のレジにもお客さんがずらっと並んでいました。今年はセミの鳴き声も全然聞こえません。
客が減ったせいか、一部の海の家では、ナンパ目的のグループをターゲットに、テキーラなどのショットやシャンパンで単価を上げている店も珍しくないです。40〜50代くらいの男性客が若いモデルのような女性たちを呼んでキャバクラみたいになっていたり、無理をして飲みすぎて潰れているヤリラフィーみたいな若い男の子はよく見かけます」
酒や出会いを目的とした男女の姿が見られる一方で、かつての江の島と比べると、周辺の治安や夜の雰囲気は大きく変化しているという。
前出の地元住民・テルさん(仮名・50)は、近年の変化を次のように説明する。
「昔は江の島といえば、チャラいとか、柄が悪いというイメージが強かったと思います。以前はこの辺りでしょっちゅうケンカが起きていましたが、3、4年ほど前から警備員が巡回するようになりました。
僕が学生だった20年くらい前は、夜中まで営業している大きな店もあり、深夜でも人がたくさんいました。今は夜21時には完全に営業を終えなければなりません。昔を知っている人からすると、雰囲気はだいぶ変わったと思います」
治安は改善傾向にあるものの、海水浴客が迷惑行為に遭うケースは今もあるようだ。子どもの頃から年に2〜3回、江の島に通っているという、神奈川県在住のミナさん(仮名・24)とサクラさん(仮名・22)姉妹に、ビーチでのすごし方を聞いた。
「海の家は高いので利用せず、砂浜でのんびりすごして、帰りに電車で移動して飲みに行くことが多いです。毎年ナンパはめっちゃ多くて、しつこくずっとついてくる人もいます。なかには、お酒を持ったまま海の中まで追いかけてきた若い男性もいました」

