日産は、6月17日に、2代目となるKICKS(キックス)を発表した。初代に対して大きく車格を上げたワンランク上の車体に、第3世代e-POWERを搭載。2WD(299万9700円〜389万8400円・車両価格税込)と、e-4ORCEを搭載する4WD(334万9500円〜424万8200円)が用意される。
KICKSが、大きくなって高級感を備えて帰ってきた
e-POWERとは、いわゆるエンジンと電動を組み合わせたハイブリッドだが、トヨタのプリウスなどとは異なり、エンジンの駆動力が直接車輪に伝わることはない。車輪はモーターでのみ駆動され、エンジンは発電機として電力をバッテリーに供給する。
トヨタの方式のハイブリッドはエンジンパワーを車輪に伝えたり、モーターパワーを車輪に伝えたりと複雑な制御を必要とするし、複雑な仕組みは重量増にも繋がる。しかし、e-POWERはいわば発電機を積んだEVなので、仕組みは比較的シンプルになる。また、後述するe-4ORCEなどのように、駆動力を制御することもやりやすい。
初代KICKSは日産のNoteに近いプラットフォームをベースにしており、今回のモデルも共通性がないわけではないが、同じプラットフォームを活用しながらも、ホイールベースを延長、ボディを大型化、室内空間を拡大、4WDにも対応……など、ほとんど別モノといっていいほどのアップデートを受けている。

左が旧モデルで、たしかにまだNoteをSUV化した……という印象はあるが、右の新型KICKSはかなり大型化されていることが分かるだろう。
実際、全長は75mm、全幅は40mmも拡大されており、受ける印象はまったく異なる。どうも、ライバルに対して押し出しの弱さが弱点だったようで、その点をカバーすべく車格を大きくして、さらにフロントグリルデザインも黒い部分を大きく横に広げ、「チョイワル」なフェイスに仕上がっている(これが消費者ニーズなのだろう)。

ボンネットの両側も大きく立ち上がっており、運転席からの見切りはよい。大きなクルマを運転し慣れている人なら問題ないが、不慣れなら「大きなクルマに乗っている!」と圧迫感を感じる人もいるかもしれない。
サイドラインも高く、フラットで腰高なデザインが迫力を生み出している。

この大きなボディは運転席にも大きな余裕を生み出している。クルマのクラス以上の広さと高級感が感じられる。広くて包まれ感もあり、質感も良い。

後部座席も2人なら大人が楽に乗れるスペースがある。3人乗ってもさほど窮屈ではないだろう。

車格を拡大したおかげで、身長175cmの筆者でも、十分な足元スペースがあった。
荷室容量は、2WDが476L、4WDが340L。十二分……とは言いがたいが、こちらも車格拡大によって容量が増えている。

写真は、2WD。4WDの場合はフロアがもっと高くなり、タイヤハウスも大きくなる。
キビキビ走って、静かで、燃費もいいe-POWER
試乗は、2WDの最高級仕様であるGグレード(389万8400円)と、e-4ORCEの中では比較的廉価なXグレード(359万9200円)を体験することができた。

街中では4,365mmの全長と、1,800mmの全幅以上にサイズ感を感じる。フロントのタイヤハウスがボンネットを大きく盛り上げているからだ。視界もよく運転しやすい。タウンスピードだとSUVだから視界もよく都内では非常に走りやすい車だ。
高速道路も同様だが、やはり車格が大きくなった分安心感が大きい。今や、『排気量クラス』という概念はなくなりつつあるが、車格としては2リッタークラスという感じ。車体剛性もしっかりしていて、運転しやすい。
発電しているエンジンは1.4リッターの3気筒だが、3気筒らしい振動や脈動感はほとんど感じられない。多くの場合エンジンは止まっていてEVと同じく無音で動く。深くアクセルを踏み込んだ時だけ、電力が足りなくなるのかエンジンが始動するが、注意していないとエンジンがいつ動いて、いつ止まったのかまったく気付かないほど。
従来モデルより、効率化が進んでおり、かなりエンジンの始動回数は少なくて済むようになっているという。

メーターパネルに相当するところに表示されるディスプレイを見ていると、エンジンからバッテリー、バッテリーからモーター(ホイール部分)への電気の流れが表示される。減速して回生ブレーキが発電しているとモーターからバッテリーに電気が流れるのが表示されるので、より効率的な運転ができるはずだ。