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《高市首相の台湾有事発言》中国では「政府が騒いでいるだけ」、台湾では「よく言ってくれた」…二人の日本在住YouTuberが語る現地の温度差と生活への余波

《高市首相の台湾有事発言》中国では「政府が騒いでいるだけ」、台湾では「よく言ってくれた」…二人の日本在住YouTuberが語る現地の温度差と生活への余波

2025年11月の高市首相による台湾有事をめぐる発言は、中国と台湾でどのような波紋を広げたのか。YouTubeチャンネル「とある中国人のむいむい」で日本と中国の文化・生活の違いなどを発信する中国浙江省出身のYouTuber・むいむいさん(36)と、同じく「台湾人の年年」を運営する、日本で暮らす台湾出身のねんねんさん(34)に、今年春節にそれぞれ故郷へ帰省して感じた現地の本音や、日中台を取り巻く空気の変化について聞いた。

 

『とある中国人のむいむいの「私たちはどうしても日本にムキになる」 知っていればイラつかない中国人の39のホンネ』より一部抜粋・再構成してお届けする。

多くの中国人が日中関係を冷静に受け止めている

――早速ですが、2026年の春節の帰省はいかがでしたか?

むいむい 忙しくて帰れない年もあるんですが、今年はちゃんと帰省できたので母親も機嫌がよかったです。でも、高市総理の発言で中国では日本への渡航自粛勧告が出たり、日本で中国人が現金をひったくられた事件もあったので、相変わらず心配はしていました。

――ちなみに中国のみなさんは、高市さんの有事発言について、どんな風に思っているんでしょう?

むいむい 「今、日本は治安悪いんでしょ?」って聞いてきた近所のオジちゃんもいたけど、他のみんなは「政府が騒いでるだけでしょ」って結構冷静。地元では「ニュースは嘘ばっかりだ」って思っている人も多いです。ねんねんちゃんも台湾に帰ったんだよね? 

ねんねん そう! 帰ったら早速、両親に「高市総理の話をしよう!」って言われたよ(笑)。今までこんなにはっきりと台湾を応援するって趣旨の発言をしてくれた人はいなかったから、地元では「よく言ってくれた!」って賞賛の声が上がっているんです。

――高市さんは、前から親台派で知られているし、今回の発言で、台湾ではより人気が高まったかもしれませんね。普段、2人でこういう話はするんですか? 

むいむい 一度もしたことがないです。外交問題は国同士のことだし、人のアイデンティティに口を出すことはできませんから。何より、話しても楽しくない!(笑) ただ、一人の中国人として台湾の人と仲良くしたいと思っています!

ねんねん むいちゃん……!

――台湾の人は、どういうアイデンティティを持っているのでしょう?

ねんねん 台湾は、スペインや日本など外来政権の統治が長く、アイデンティティもその都度変化してきました。大陸から逃れてきた国民党が「中華民国」を名乗り、国連で国として認められていた時期も。結局、国連は脱退しましたが、今は台湾として民主主義を選択し、一国家としての体制は整えています。あとは世界がまた認めてくれれば!って感じですね。

――なるほど。それにしても台湾の方は本当に複雑な歴史と柔軟さを持っていますね。これについて、中国の人たちはどう思っているのでしょう。「台湾は中国の一部だ」って思っている人もいるんでしょうか?

むいむい 上の世代で、そういう主張をしている年配の人には会ったことがありません。ただ〝リトルピンク〟(小粉紅:1990年代以降に生まれた若い世代の民族主義者)と呼ばれる、学校教育を鵜呑みにして過激な愛国主義思想を持つ若者たちも増えていると聞きます。

ねんねん そうそう。日本の声優さんやアーティストさんが台湾に来て「台湾は食べ物が美味しい国だね」という表現をしてしまうと、リトルピンクがすぐに湧いてきます。

――日本人も配慮が足りていないと感じます。日本は台湾を50年間も統治していた過去があるのに、台湾の人の複雑なアイデンティティや置かれている状況について認識が甘い部分があると感じました。きちんと理解しなくてはいけないですね。

ねんねん 台湾人としては、いつも周りに気を使わせてしまっている気がして申し訳ないな、と思います(笑)。

中国政府は強く見せたいだけ?

――これは仮定の話にすぎませんが、もし東アジアの情勢がさらに悪化して、高市総理のいう有事のような状況になった場合、お2人はどう行動しますか?

むいむい 正直、そういう事態になることはあまり想像できないですね。中国は今回の一件でも強気な発言をしているけれど、それは強く見せようとしているだけ。考えが甘いかもしれませんが、日中関係だってこれ以上、悪くなることはないと思います。
今が最悪なら、そこから改善していくしかないわけですから。お互い事情はわかっているから、多角的に冷静に考えていくことが大切だと思います。

ねんねん 私は、まず台湾にいる家族のことを考えると思います。そのときに、家族の避難先として「私が日本にいてよかった」って思うかもしれない。それが可能なことかはわかりませんが、一つの最終手段として覚悟はしています。でも、日本に迷惑をかけてしまうな、とも思っちゃいますね。

――台湾の方たちは、そういう事態もある程度覚悟しているということですね。一方、中国の外交のやり方として、やっぱり外には強く見せようとする文化がどうしてもあるわけですね。

むいむい 結局は、いつでも攻撃できるよという脅しなんです。政府が実際に武力行使するつもりはないと考えている中国人は、結構多いと思います。

――中国と台湾、そして日本。これからの未来に望むことはなんでしょう?

むいむい それぞれの国にはそれぞれの事情があるので、個人レベルでは何も言えないなと思います。ただ願うのは「平和であってほしい」ということ。上の人たちも、今日のように机を囲んで仲良く座り、本音で話し合って解決法を考えてほしい(笑)。

ねんねん 大切なことはお互いの違いを認識した上で「理解しようとする姿勢」を持つことだと思います。動画でも、外国人の視点だからこそ気づける「日本の良さ」を共有することで、初めてわかる良さがある。国という枠組みを超えて、民間レベルでそうした歩み寄りを積み重ねていきたいです。

むいむい 中国の体制や日本の現状など、問題があるのは確か。でも批判ばかりが続くと嫌な気分になるし、今の私の力量ではまだそれらをエンタメとして昇華させることも難しいです。
だから、自分が好きなものや好きな人について熱弁したり、日本を褒めたりすることを大切にしたいなと思います。問題から目を背けたいのではなく、そういう多面性も全てわかった上で、「もっと素敵なところを見つけに行こうや!」と光を当てていく。その方が、きっといいよね。

取材・文/井上真規子 撮影/岡 利恵子

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