「下着ではなくファッションアイテム」 Z世代における“かわいい”の基準
続いて話を聞いたのは、Instagramフォロワー約21.7万人を持ち、メイクやファッションなど、自身が考える独自の「かわいい」を発信するインフルエンサー・ののちさんだ。
レースのインナーを見せるコーディネートを取り入れるようになったきっかけは、韓国のファッションだったという。
「韓国の方が、ユニクロのインナーをレイヤードしているのをネットで見て、『可愛い!』と思って自分のファッションにも取り入れ始めました。カルバン・クラインのロゴを見せるスタイルは、ギャルファッションのリバイバルという印象があります。でも、私が取り入れているレースのインナーは、それとはまた違う、新しいファッションとして楽しんでいます」
ののちさんにとって、レースのインナーは「下着」ではなく、コーディネートを構成するアイテムの一つだと言う。
「本当の下着の上から重ねているので、私の中ではパンツやトップスと同じ感覚なんです。
もちろん、否定的な考えの人がいるのも分かりますし、それはその人の価値観なので否定するつもりはありません。しかしいまでは『見せる前提』で作られたアイテムも増えていますし、下品に見せたいわけではなく、あくまでもコーディネートの一部として楽しんでいます」
「レースはパンツに見える」「ブランドロゴならアリ」同じ20代でも意見は真っ二つに
谷藤さんやののちさんは、「下着ではなくコーディネートの一部」という感覚で“インナー見せコーデ”を楽しんでいた。一方で、それを見る側の価値観はどうなのだろうか。
東京・渋谷のアパレルショップに勤務する20代女性は、「トランクスをレイヤードしたり、カルバン・クラインやディーゼルのロゴを見せたりする着こなしはファッションだと思いますが、レースの下着がそのまま見えていると『普通にパンツじゃん』と思ってしまいます」と話す。
さらに、「友達でやっている子はいませんし、職場の同僚にも『意味が分からない』『見えてる!って思っちゃう』という人はいます。同じ20代でも受け止め方はさまざまですね」と続けた。
一方、20代の会社員男性は、「“パンツ・オン・パンツ”のようにレイヤードしているならファッションとしてまだ理解できます。でも、肌に直接触れている下着が見えていると、『パンツが見えている』という印象になります。恋人が同じような格好をしていたら思わず『その格好はやめておいたら?』と言ってしまいそうです」と語った。
――当事者たちにとって“インナー見せコーデ”は、下着を見せるためではなく、コーディネートを完成させるためのレイヤードの一つだった。
しかし、その感覚はまだ誰もが共有しているわけではない。同じ20代の間でも受け止め方はさまざまで、その価値観のギャップこそが、このファッションをめぐる賛否を生んでいるのではないか。
取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio)

