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「子どもから電話が来たら、お金は取れない…」3万件超の相談を受けた“いじめ探偵”が無償調査を続ける理由

「子どもから電話が来たら、お金は取れない…」3万件超の相談を受けた“いじめ探偵”が無償調査を続ける理由

いじめ解決のためのサポートを無償で行う特定非営利活動法人「ユース・ガーディアン」。代表の阿部泰尚さん(49)は、いじめ調査のスペシャリストで、「T.I.U.総合探偵社」の代表も務める現役の探偵だ。後編では、阿部さんがいじめ調査にかける思いや昨今のいじめの状況、傾向について語ってもらった。〈前後編の後編〉

「子どもから電話が来るようになった」いじめ調査を無償にした理由

阿部さんが「T.I.U.総合探偵社」を立ち上げた当初は、給料をもらえない状況が1年以上続いた。だが、“いじめの調査”をスタートさせる会社も大きくなり、ようやく給料も取れるようになった。

だが、阿部さんはいじめ調査について、報酬を取らない方針を打ち出した。その理由についてこう語る。

「子どもが直接電話してくるようになったんです。子どもだと依頼料だって払えないし、ビジネスで考えれば受けないよねとなります。でも、『なんとかこの子助けてあげなきゃ』って思って、僕がかわりに料金を払って受けるなんてこともしていたんです。

そのうちにやっぱりいじめ調査だけは無償にして、これは手の空いている人間みんなでやろうとなったんです。ただ、無償にしたら僕は給料が取れない月がまた出てきたり、従業員も給料が下がってしまったりもして……。最終的に、僕が借り入れして給料払うみたいな状態になっていきました」(阿部さん、以下同)

会社も二度の倒産の危機に直面した。勤続年数の長い人も給料が上がらずという状態が続き、「ひとりでやってくれ」という声もあがった。

阿部さんも、その意見には一理あると考えと思い、いじめ調査に特化したNPO法人を立ち上げた。幸いなことに阿部さんの“いじめ調査”に賛同してくれた団体などが寄附をしてくれたおかげで、今があるという。

「自分でも思い切ったことをしたなと思いましたが、いろいろな方が手を差し伸べてくれてどうにかなりました。今はNPO法人の方で相談に乗り、調査が必要であれば探偵社で受けています」

スマホで家にいても逃げられない…いじめの“逃げ場のなさ”

これまでさまざまないじめ調査に関わってきた阿部さんだが、埼玉県内で調査に関わったいじめの事案は印象深かったという。

「女子中学生が、『殺してやる』とか性的な内容を含む写真が入った手紙を家に送りつけられるといういじめでした。手紙の内容がクラスにいないとわからない内容も書かれていて、その女子中学生は疑心暗鬼になり、友達たちとギクシャクしてしまったという相談でした。手紙は郵送なので使われそうなポストを監視したりしていましたが、一向に誰が送っているのか分かりませんでした」

だが、諦めずに調査を続ける中で、ある共通点に気づいた。手紙が送られてくるのは、その女子中学生が元交際相手と学校で会話した直後に集中していた。そこで阿部さんは、手紙が届くきっかけを確かめるため、女子中学生に特定のタイミングで元交際相手と会話してもらい、投函のタイミングを絞り込んだ。

「投函タイミングは思った通り、元彼氏との会話後でした。怪しい行動をしていたのは元彼氏の前の彼女だったのですが、手紙の投函だけはしないんです。ですが、ある時にこの子の母親がポストに投函する瞬間を目撃しました。袖で指紋がつかないようにしてポストに投函するのですが、その様子を撮影しました。さすがに母親が関わっているとは思わなかったので埼玉県警に報告して、その後、母親が逮捕されるということになりました」

文部科学省の令和6年度調査によると、小・中・高等学校および特別支援学校におけるいじめの認知件数は76万9022件で、過去最多となった。18年前の2006年度の認知件数12万4898件と比べると約6倍だ。いじめの質や傾向に変化はあるのだろうか。

「やることはそんなに変わっていないと思います。ですが、いじめに使われるツールが変わった。僕らの子どもの時代は携帯やスマホがなかったので、ある意味、逃げ場があった部分もあります。

ですが今は、スマホに連絡が来る、または地図で居場所を共有するアプリを使われるなど家にいても逃げられなくなるんです。さらにスマホを用いて、暴力だったり性的被害だったりを撮影し、拡散されるなどもあります」

いじめそのものも複雑化してきている。これもまたスマホというツールの進化によるものだという。

「例えばいじめの標的にしたい子がいたとします。その子の名前で友達のSNSなどに悪口を書き込みするんですよ。なりすましで書き込んでいじめに発展させるのが目的です」

阿部さんのもとには、いじめの延長線上で闇バイトのような行為に関わらされる相談も寄せられているという。

「『捕まっても名前も出ないし、大したことない。将来には影響しない』などと言われ、お金目的で行く子もいますが、いじめの延長線上で無理やり行かされる子もいます。それこそ、スマホでどこそこを撮影して来いとか言われたなどという話も聞きます」

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