突然の「キャリア中断」が自分と向き合う時間をくれた
その後、女優・MCとして芸能界の第一線を走り続けた片瀬さん。情報番組『シューイチ』では10年にわたってMCを務めました。その後2021年、芸能活動の中断を余儀なくされ、所属していた芸能事務所を退所しました。

「最初は気持ちの整理がつかない部分もありました。でも、いくら考えても自分にはどうにもできないことがある。それなら、状況が変わるのを静かに待つしかないなと」
強制的に立ち止まることになった片瀬さんの頭に浮かんできたのは、「この先も芸能界で、同じペースで走り続けるのか」という問いでした。仕事に恵まれていたぶん、立ち止まって自分自身と向き合う時間は、これまでほとんど持てずにいたと気付いたのです。
「こういった状況にならなければ、きっと立ち止まらなかったと思います。だからこの時間を使って、他人軸で走ってきた自分を一回やめて、自分が本当にやりたいことや好きなことと向き合ってみようと思いました」
そうしてYouTubeで自身の日常を発信しはじめた片瀬さんに、新しい転機が訪れます。ジェイドグループの社長からコラボレーションのオファーが届いたのです。片瀬さんは、初回の打ち合わせまでに50以上もの企画アイデアを用意するほど前のめりに準備をし、さらに話し合いでは「片瀬さんがロコンドの社員になる」というアイデアも浮上します。すると社長から「動画内で“演じる”のではなく、本当に社員になるのはどうか」と提案が。「やるなら本気でコミットしたい」と考えていた片瀬さんは、迷うことなくその提案を受け入れました。
会社員への転職に「ためらいはまったくなかった」と言う片瀬さんには、仕事を通じて大切にしてきた一本の軸があります。
「お客さまに喜んでもらいたい、楽しんでもらいたいという気持ちは、芸能の仕事とまったく変わっていません。仕事のやり方は変わっても、向いている方向は同じです」
人前に立ち、注目を集めることが仕事だった芸能界とは対照的に、今の片瀬さんが目指すのは「空気清浄機のような存在」だと言います。目立つのではなく、社内の空気を整えること。その想いをさらにこう言葉にしてくれました。
「優秀な“右腕”というよりは、手の届かないところや細やかな部分をフォローできる“左腕”になりたいです。私にしかできないやり方で、みんなが幸せにはたらける空気を社内につくれたらいいなと思っています」
やりたいことはなくていい。飛び込んだ先で「はたらく楽しさ」が見つかる
ふり返ると、片瀬さんのキャリアの節目はいつも、自分から「やりたい」と選んだものではありませんでした。それでも飛び込んだ先で、本気になれるものに出会ってきた経験を踏まえて、「やりたいことが見つからない」と悩む人たちへこう語ります。
「『やりたいことではないこと』が、意外と天職になったり、自分の強みになったりするものです。私自身がまさにそうで、女優も会社員も、最初から『やりたいこと』だったわけではありません。でも、いざ飛び込んでみるととても面白かった。だから、今やりたいことが見つかっていないからといって、自分の可能性を狭めないでほしい。自分の可能性を自分で摘んでしまうのは本当にもったいないです」

最後に、はたらくことにモヤモヤを感じている若者に向けて、「はたらく」を自分らしく楽しくするためのアドバイスを伺いました。
「頑張りすぎないで、と伝えたいです。何をしていても常にモヤモヤは付きまとうものなので、一人で抱え込まないこと。たとえすぐに解決しなくても、誰かに話を聞いてもらうだけで解消できることって意外とあります。自分に負荷をかけすぎず、昨日の自分をほんの少しだけ超えていく。その積み重ねが自分への信頼をつくってくれますから」
※今回お伝えしきれなかったフルバージョンの動画はYouTube『スタジオパーソル』にて公開中
(「スタジオパーソル」編集部/文:間宮まさかず 編集:いしかわゆき、おのまり)

