送るはずのない相手に、写真が届いた
その日、俺は会社帰りに彼女と会っていました。ソファに並んで1枚だけ写真を撮り、「今日はありがとう」と一言添えて、彼女に送るつもりでした。
送ってからスマホを見返すと、送信履歴のいちばん上に妻と娘の名前が並んでいました。俺は自分の目を疑いました。彼女とのチャットではなく、家族チャットに写真が送られていました。酔いが一気に覚めました。慌ててトーク画面を開くと、娘からの返信が届いていました。
「だれ?」
俺は家に着いて玄関で靴を脱ぎ、廊下の奥にある台所を見ました。妻は普段どおり夕食の支度をしているようでした。スマホをもう1度見ましたが、妻からの返信はなく、既読だけが点いていました。
「知らん」と打って、写真を消した
俺はその場で「知らん」と打ちました。返信を送ってから写真の送信を取り消しましたが、すでに妻と娘の目には焼き付いているはずでした。
チャット画面を閉じようとしたとき、また通知が鳴りました。妻からの「今日はハンバーグにしたよ」でした。
何事もなかったかのような、いつもの夕方の連絡でした。娘はそれに「了解、早く帰るね~」と返しました。妻が何を考えているのか、この短いメッセージからは何も読み取れませんでした。
