それでも中国人は韓国へ来る。理由はシンプルだ
中国人旅行者の多くは、韓国政治に関わるために来たのではない。安く買い物をし、美容施術を受け、食事を楽しむために来た。だが街では、中国政府への怒りまで背負わされる。
それでも中国人は韓国へ来る。理由はシンプルだ。近く、安く、美容と買い物に強いからだ。
旅行者は政府の宣伝だけで行き先を決めない。価格、安全、距離、SNSの評判を比べ、自分の利益で動く。そして、私も秋に韓国へまた行こうと思う(笑)。
一方、韓国政治は反中感情を利用する。李在明政権は中国との関係改善を進め、中国人団体客のビザなし入国を実施した。保守野党はこれを「親中」と攻撃し、中国人の不動産購入、健康保険利用、地方選挙権をまとめて争点にした。観光地の不満が、政権攻撃の材料へ変わったのである。
今度は韓国に保護を要求する立場に回った中国政府
中国政府も、韓国の反中デモを極右団体の排外行動だと批判し、韓国政府に中国人の安全を守るよう求めた。日本への旅行を細らせた結果、今度は韓国に保護を要求する立場に回ったのである。
いま韓国で起きているのは、観光客の増加そのものへの反発ではない。中国への不信が、目に見える旅行者へ転嫁されているのである。
ここに中国人観光客へ依存する怖さがある。外交関係が良ければ大量に来る。悪化すれば一斉に消える。戻れば混雑と反発が起きる。受け入れ国の店、雇用、街の空気まで、北京との関係に左右される。
韓国にとっても、観光客が増えれば成功という話ではない。人数だけを追えば、混雑や住民の不満を見落とす。中国人を歓迎しながら反中デモを放置すれば、観光地は稼ぐ場所ではなく争う場所になる。
客を呼ぶ政策と、街の秩序を守る政策は同時に進めなければならない。どちらか片方では必ず破綻する。
日中対立で細った訪日需要は、日本だけの問題で終わらなかった。中国人旅行者は韓国へ移り、韓国社会に積もっていた反中感情とぶつかった。日本から韓国へ移ったのは観光需要だけではない。混雑、反発、政治対立まで一緒に移ったのである。
観光客を外交の道具にすれば、旅先で普通の旅行者として扱われなくなる。

