送ってみたかった、たった1つの絵文字
孫が1人暮らしを始めたと聞いてから、私はどうしても、あの子とやり取りをする方法が欲しくなりました。近所の公民館で見かけたスマホ教室の張り紙を、数日眺めてから申し込みました。教室の先生は、絵文字の使い方を丁寧に教えてくれます。私は最初の日に、桜の絵文字1つを孫に送りました。返ってきた「おはよう」が、その日の始まりになったのを覚えています。
覚えても覚えても、間違えてしまう絵文字たち
教室で先生から教わっても、家に帰るとどれがどれだか、わからなくなってしまうのです。ハートの色の違い、笑っている顔の種類、花の名前。私は大学ノートに1つずつ書き写し、隣に意味を鉛筆で書き添えました。それでも間違えて、孫に「怒っている顔」を送ってしまったこともあります。孫からの返信はいつも短く、それでも既読はついていました。届いていると思うだけで、私は次の絵文字を選ぶ気になれるのでした。
