「副業元年」と言われて久しく、書店には在宅ワーク・副業関連の書籍が並び、SNSでは「月◯万円稼げた」「AIだけで自動的に回る仕組みを作った」などという真偽のわからない体験談があふれていています。一方で、私は、これまでに数千人のキャリア相談に乗ってきました。その中にはインフルエンサーとして活躍されている方や、数千万円以上の収入を手にした方など、いわゆる「成功者」と呼ばれる方も多々いらっしゃいます。……と、そんな実績を持つ身からすると、昨今の巷にあふれる、副業としての「在宅ワークの手引き」系のガイドブックがナメているとしか思えないので、檄を飛ばしに参りました。
世の中のガイドブックが勧める「副業」は副業ではない
そもそも、世の中のガイドブックはどんな「副業」を勧めているのでしょうか?AMPULE careerで書かせていただくにあたり、関連書籍をざっと5冊ほど拝読したのですが、いやあ、ひどいものです。なにしろ、どの本も読者に稼がせるつもりが全くなさそうなのです。
たとえば、「Amazonの電子書籍 “Kindle”で本を出して売りましょう!」と、副業を勧める本にはよく書かれています。いやいや。私たちがどこの誰とも知らない作家の電子書籍を買ったことってありますか?私はありません。
電子書籍をKindleで出すことが「無意味」だとは言いません。たとえば、一般の出版社が出しても、そこまでの売り上げが見込めない分野の専門知識があるような場合です。
ここではたとえば、パラレルキャリア(複業)を持ってみたい方の人口推移と、どのような複業への関心があるかを子細に追ったデータだとしましょう。このデータを欲するのはリクルート社などごく一部の人材会社の方に限定されるでしょうから、一般の書店に流通させる「商業出版」をするメリットがほとんどありません。
それを、AMPULE careerが独自に調査し、各社へ宣伝するときの営業ツールとして「このQRコードから複業に関する詳細のリサーチデータをご購入いただけます」と売り込む……といった手法なら、売り上げにつながるため電子書籍出版にも意味があります。
ですが、「普通の人が普通に書いたエッセイ」や「ちょっと調べれば生成AIでも教えてくれそうなこと」は、Kindleで売れる可能性が、ほぼありません。
「ほぼ」と書いたのは、広告を掲載する代わりに無料でKindle本を売る方法もあり、これならコミックエッセイなどは、読んでもらえる可能性があるからです。ただ、それでも売るためには、SNSで活発に宣伝するなど、別のアクションが必要でしょう。
……といったように、「この副業で読者に売り上げを作ってあげる気があるのか?」と思わざるをえないような、副業もどきを紹介するガイドブックや記事が後を絶たないのです。
在宅ワークで売るなら、まずは「前職」を活かそう

じゃあ、どういう副業なら「売れる」んですか? という話ですね。
私が普段から口を酸っぱくしてお伝えしているのは「前職を活かそう」です。
たとえば、小児科を専門とする看護師の方がいたとします。その方はココナラやクラウドワークスといった、スキルを売り買いするサービスで「障害を持つお子さんのご両親」の相談に乗ることができるかもしれません。
検査や診断などは医師しか行えませんが、手作りのおもちゃでどんなものが刺激になるかなど、医療行為にあたらないサポートが可能なはずです。
たとえば、「いわゆる職歴」がなくて、ずっと引きこもっている人がいたとします。その方は、ひきこもり当事者の相談にも乗れますし、子どもが不登校になって悩んでいる親御さんの悩みも聞けるかもしれません。
「ひきこもっていた」「ずっとゲームをしていた」といった経歴すら、立派に活躍できる「前職」なのです。
