いつも通りに詰めていたつもりでした
夕方のスーパーは、仕事帰りや保育園帰りの家族連れで混雑する時間です。私はレジパートを始めて3年になります。マイバッグを預かって詰めるのは慣れた作業でした。牛乳やペットボトルなどの重いものを下に、卵とパン、冷凍餃子は潰れないよう上に重ねる。パートを始めた頃に先輩から教わった手順を、無意識にたどっていました。
「あの、そうじゃなくて」とおっしゃいました
袋を受け取ったお客様は、中を覗き込むなり口を開いた後、少しの間をあけて「あの、そうじゃなくて」とおっしゃいました。「冷凍と常温は分けてほしかったんです」。淡々とした声でしたが、口調の奥に急いでいる気配が滲んでいました。「申し訳ありません」と頭を下げて詰め直そうとした私に、お客様は「もういいです、私がやります」と続け、レジ横のカウンターで袋を空けはじめました。次のお客様の視線を感じながら、私はレジを打ち続けるしかありませんでした。
