選ばせないための最低な方法
実家から自宅に戻ったその夜、俺は彼女の連絡先をブロックしました。会社の受付にも、私生活の件で電話を取り次がないよう頼みました。
未送信のメッセージが、下書きに何度も残りました。
俺「ごめん」
俺「実家の都合で、来年の結婚は難しくなった」
俺「本当にごめん」
どれも、送れませんでした。理由を書けば、彼女は「じゃあ話し合おう」と言ってくれるとわかっていたからです。話し合ってしまえば、俺はきっと彼女を選ぶ。そして、家の全部を彼女に背負わせる。それが怖くて、俺は説明を全部放棄しました。
彼女を苦しめない方法として、ブロックしか思いつきませんでした。最低な方法だと、自分でもわかっていました。
そして...
半年後、俺は親の決めた相手と入籍しました。彼女には、共通の友人から少しだけ話が伝わったと聞きました。「本当は、伝えたかったんだと思う」と友人が言ってくれたそうですが、それは違います。伝えたかったのではなく、伝える資格を自分から捨てたのです。指輪のカタログは、まだ引き出しにあります。捨てられないまま、置いてあります。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
