自分ではなく、映画の一部になる
──世間では過剰なリスク管理や顔色をうかがう空気が強まっていますが、そうした空気とはどう距離を取っていますか?
みんなが何にそんなにビクビクしているのか、よく分からないんですよね。飲み屋さんとか行っても、お店の女の子に「これインスタあげていいですか?」って言われたら「絶対あげてね」って返すんです。俺SNSやってないから、むしろ人のインスタにできるだけ載りたい(笑)。めちゃくちゃ付き合ってる感じの雰囲気で載せてもらって。
コソコソ隠すんじゃなくて、どんどん出してもらうのが一番のリスク管理なんですよ。それなのに一番腹立ったのが大森南朋でね。「リリーさん、これインスタ載せていいですか?」って言うから楽しみにしてたら、載せないんですよ。裏切りですよね(笑)。
「ミスター・ビーン」ってあまりしゃべらないイメージがあるじゃないですか。そのローワン・アトキンソンが、9・11テロの直後に言った言葉があるんです。「冗談にできないテーマなどあってはならない。宗教も含めて」って。本当にその通りだと思いますね。起きた出来事を冗談にもできない空気のほうが、よっぽど危険ですから。
──世間から「俳優」として広く認知された現在も、ご自身の中に照れや違和感は残っていますか?
昔から人前に出るのがあんまり好きじゃなくて、今さらながら恥ずかしくなってきたところがあるんです。昔、雑誌で「好きな本を紹介してください」って企画があっても、自分の顔写真を載せるのが嫌で、ずっとイラストの似顔絵にしてもらっていたくらいで。
ただ、お芝居をする時だけは別なんです。リリー・フランキーとして顔を出したり脱いだりするのは嫌だけど、役名がついていれば、ケツを出そうが何しようが何とも思わない。自分自身ではなく、映画という作品の一部、その役名だからなんでしょうね。
#2に続く
取材・文/キムラ 撮影/杉山慶伍

