「手が震え、息ができない…」舞台上で起きた異変
──上沼さんへの発言で炎上した当時を振り返ると、どんな気持ちになりますか?
いやもう、ただただへこむという感じですね。「大変なことをしてしまった」という反省がまずあって、「大変な時代になった」とも思いました。
誰もが、誰に対しても、どんな言葉でも届けられる時代になったんやな、と。当事者になって、改めて怖さを感じました。
僕もこういう見た目とキャラなので、以前からSNSで悪口を書かれることはありました。でも、上沼さんの件は数がとんでもなかった。
ただ、そこで何か弁明しようものならまた問題になって、またニュースになるじゃないですか。
SNSとネットニュースの怖さを心底思い知りました。たぶん、その頃から何かしらの精神疾患にはなっていたんやろうなと思います。
──その時点では、まだ医療機関を受診していなかったのでしょうか?
そうですね。異常を感じたのは全国ネットのネタ番組に出演したときでした。舞台に立った瞬間、過呼吸のようになってしまって。手も震えるし、息もできないし「なんやこれ」って。「精神的な病気なんちゃうか」と思い、心療内科を受診したんです。
最初に先生から告げられたのは「不安症ですね」という言葉でした。そして、もうひとつ告げられたのが「中度から重度のアルコール依存症です」という診断でした。
「そんなはずない」と思いましたね。一応、社会生活を送れている自分とは無縁だと思っていましたから。とはいえ、放っておくわけにもいかないので、抗不安薬を処方してもらい、それ以来、舞台に立つ前は薬を飲むようになりました。
──しかし、近年も苦しんでいたことを考えると、その段階ではお酒をやめられなかった、と。
そうですね。やめられなかったんです。先生からは禁止されていましたが、こっそり飲んでいました。
嫁にも打ち明けられないまま、毎日、薬と一緒に大量の酒を飲む生活です。「一生、このままなんかな」。そんなことばかり考えていました。それでも、お酒だけは手放せませんでした。
≪後編≫へ続く
取材・文/森田浩明(A4studio)
スーパーマラドーナ・武智(たけち)
1978年8月3日生まれ、愛媛県松山市出身。1999年にNSC大阪校22期へ入学し、2003年に田中一彦さんとコンビを結成。『M-1グランプリ』では2015年から2018年まで4年連続で決勝進出を果たした。現在は漫才師として活動するほか、禁酒生活や日常を発信するYouTube・SNSでも注目を集めている。

