ツアーで活躍しているプロたちは誰もが自分のゴルフをよりよいものにしていくためにさまざまなことを考え、走り続けている。
どんなことを考え、どのようにゴルフと向き合っているのか。インタビューをとおして、その姿を探っていく。
「もうひとりの自分にやっと気づくことができた」

23年シーズン開幕直後のケガによって、それまで5年間守ってきたシード権を逃した三ヶ島かな。その翌年も調子は完全には戻らず、12月のファイナルQT(最終予選会)に出場。そこでつかんだ権利で臨んだ25年もシード権には届かなかったが、彼女は5年前の公式戦「リコーカップ」の優勝により、複数年シード(3年)の権利をもっている。
しかし、23、24年のシード落ちのときにはその権利を行使せず、25年終了後にいわゆる「メジャーカード」を使うことを決断。そこに至るまでの葛藤と、そのなかで得たふたつの「気づき」について、ざっくばらんに話してもらった。
──25年はどんなシーズンでしたか?
三ヶ島 ケガから復帰して、完全復活を目指して臨みましたが、思うようにはいかなかったですね。また「弱い自分」に気づいたシーズンでした。
──メンタルの部分に変化が?
三ヶ島 「ガンバろう、いける!」という普段の自分に対して、「大丈夫かな、いけるかな……」みたいな心配ばかりしている自分、この後者の存在が目立ってきたんです。
──それは昨年はじめて気づいたものですか?
三ヶ島 それまではケガからの復帰に必死で、弱い自分に気づく暇がなかったんですよね。ただ「やっとここに辿り着けた」とも思ったんです。
──ポジティブに受け止めることができた?
三ヶ島 はい。オフでしっかり調整ができて臨んだシーズンでしたが、練習ではいいのに試合になるとダメになる。そう悩んでいたときに、ずっと不調だった菅沼菜々ちゃんが優勝(25年5月「パナソニックオープン」)しました。そのとき「この日まで、目に見えない“ゴジラ”にずっと不安を感じていた」という記事を見て「今の私と同じかもしれない」って、少しずつ自信を取り戻すきっかけになったんです。
──菅沼プロの優勝が、復活のヒントに?
三ヶ島 そうですね。そこから本格的に弱い自分との戦いがはじまりました。そのときに必ず出るクセがわかったりもしたんです。
──どういうクセが?
三ヶ島 手首だけで打つようになってしまうんです。それに気づいてからは、何も考えずに簡単に振ることを心がけて、気持ちに左右されないスイングが少しずつできるようになってきました。
──光明が見えてきましたね。
三ヶ島 いえ、まだまだです。さらにもうひとつ、自分の「ゴルフ力」が落ちているということに気づきました。
──「ゴルフ力」とは?
三ヶ島 自分自身でプレーする力といったらいいですかね。試合ではずっとキャディの佐々木裕史さんと一緒でしたが、昨年の私は自分で打つイメージを作る前に、佐々木さんのアドバイスを聞いてしまっていました。
──信頼関係ができているがゆえの「甘え」になってしまった?
三ヶ島 それはありました。何かをガラッと変えなければならない時期に来ているのかなと。自分の決断でプレーする力をあらためて意識していこうと思っています。
──昨年はふたつの課題に気づけた1年だったともいえますね。
三ヶ島 はい。「 “弱い自分”が出てきてもスイングを崩さない心をもつこと」と「自分自身で決断してプレーすること」のふたつの課題に同時に気づけた年でした。
「ここで使わんといつ使うん?」
──「メジャーカード」を使う決め手になったのは?
三ヶ島 使おうかどうしようか、QTのエントリー期限のそれこそ時間前まで悩んでいました。「QTを戦って来季もツアーへ」「でも、今の私に戦う準備ができるのかな?」って。いろいろな方に相談していたのですが、最終的に父の「ここで使わんと、いつ使うん?」というひと言が、使う決め手になりました。
──最良の決断だと思います。歳をとってから「消化試合」みたいな使い方はもったいないですから。
三ヶ島 ありがとうございます。インスタグラムで発表してみたものの、どのような受け止め方をされるのか心配でした。こうなったらこの3年を絶対にムダにしたくないです。

