イベントレポート全文 その2
エンドロール後に流れる“あの予告”は、押井さんが監督を務めた『ケルベロス-地獄の番犬』のパロディになっていることでも大きな話題となりました。出渕監督は、「脚本にはなんとなく、(劇中で撮影している作品の)予告映像がある、くらいの記載だったんですが、真ちゃんから上がってきた絵コンテを見ると、変な予告になっちゃいましたって書いてあって。初稿を見て、どこかで見たことがある予告だなと思ったら、『ケルベロス』だ!と。真ちゃんに聞くと、これしか思いつかないって言うんですよ」と明かします。
すると樋口さんは、「俺の中では、別にウケ狙いじゃないんです」と前置きし、制作に込めた思いを語りました。「これまでも、作り始める前までは“今までになかった新しいヒーロー像を作ろう”と思い描いていたものの、完成したものを見ると『あれ、これいつものじゃないか?』と思ってしまうような苦い経験がいくつもあって。同じ映画づくりをしている人間としてそれを反映しないと、第3話で描かれている、夢物語のようにハチャメチャな映画作りがうまくいってしまうことに納得できない部分もあったんです。あんなメチャクチャなことを本編でやっておきながら、結局は1カットも本編では使用されていない。だったら、ほろ苦く終わりたいなと思いました」「これまでの映画づくりへの思いや経験を反映していった結果、最終的に『ケルベロス』に着地しました。音楽も川井憲次さんですし、ちょうどいい作品なんじゃないかと思ったんです」と、その経緯を明かしました。
さらに、エンドロールに載っている「予告編承諾 押井守」というクレジットについても、「『真ちゃんがやりたいならいいよ』と押井さんが言ってくれたので、パロディができることになりました。エンドロール担当編集の方にも『こんな肩書きは初めて見た』と言われましたね」と裏話を披露。押井さんと樋口さんの深い信頼関係が伝わるエピソードに、会場からは感嘆の声が上がりました。
絵コンテでは手書きの部分が出渕監督、写植の部分は樋口さん、現場に意図が伝わりやすいよう出渕さんが修正されたとのこと。また、ゆうきまさみ先生のキャラクターのスターシステムも取り入れられており、キャラクターへの細かな指示も描き込まれているため、隅々まで見返したくなる内容となっています。
伊藤さんは、「脚本から想像していたより『やりすぎだよ!』と思う部分が多かった。面白い気持ちと呆れている気持ちが半々ですね」とコメント。続けて、「第3話に関して、絵コンテが樋口くんだと聞いたタイミングで『やりすぎになるな』と思っていたら、予想の斜め上をいくシーンもありました」と懐かしそうに笑いました。
樋口さんの絵コンテについて、出渕監督は「真ちゃんは『これはアニメなんだから、ここはアニメーションでは動かさないよ』と言っているのに、カメラ位置をぶん回してくるんで、修正が大変でした」と苦笑。それを受けた樋口さんは「僕じゃない絵コンテも1つだけありました!(十和が見せる)ルパンジャンプ!」。出渕監督も「あれは、俺がちょっとやりすぎた(笑)」と応じ、伊藤さんも「ああいうやり過ぎな部分が、ブッちゃんの演出なのはよくわかる」と息の合った掛け合いで会場を盛り上げました。

「File 2 公開に向けて! File 1振り返り上映会&トークイベント」に登壇した樋口真嗣さん
イベントレポート全文 その3
さらに、伊藤さんが手がけたヒット小説『寿司屋の後藤』の話題になると、「読んだことがある方は?」という問いかけに、会場からは多くの手が挙がりました。出渕監督は、「あれだけ売れると、やっぱり続編も期待しちゃいますよね。次は何屋になるのかな」と期待を込めたコメント。すると伊藤さんは、「ブッちゃんがそんなこと言う?」と笑いながら返し、最後まで会場を和ませました。
最後に、樋口さんは「僕の尊敬する大先輩二人と並んで、こうやって挨拶させていただける機会を頂戴できて、僕としては本当に誇らしいことです。18歳くらいの自分にも教えてあげたいくらいです。願わくば、また呼んでほしいです。」と願いを込めると、会場からも大きな拍手が送られました。更に「自分が見たかったポリスアクションを思い描きながらオープニングも担当させていただいて、これから『パトレイバー』がどうなっていくのか楽しみにしています」と今後の展開への期待を語りました。
伊藤さんは「この3人で壇上に立つことがあるとは夢にも思っていなかったです。樋口くんとの仕事上の接点は、これまで特撮の現場でしかなかったのですが、今回のような機会を得ることができたのが僕自身もすごく嬉しいです。『EZY』を始めるタイミングで“誰かにバトンを渡したい”と思っていたので、これから僕自身も『パトレイバー』がどんな展開になるのかわかりませんが、今後もよろしくお願いします」とコメント。
出渕監督は「『File 2』でもエンドロール後に、何かスペシャル映像もあるかもしれないので期待してください。そして話数を入れ替えた関係でレイバーが全然出てこない『File 2』になりましたが、各話を異なるアプローチで行っているので、バラエティー豊かな話になったと思います。ぜひお楽しみください」と締めくくり、イベントは終了しました。
『機動警察パトレイバー EZY File 2』は8月14日(金)より全国公開。
『タイトル】
『機動警察パトレイバー EZYFile 1』File 2 公開に向けて! File 1振り返り上映会&トークイベント
【日程】
7月26日(日)
【登壇者】
出渕 裕(監督)
伊藤和典(脚本・シリーズ構成)
樋口真嗣(第3話 絵コンテ)
MC:吉田尚記
※敬称略
