探すつもりは、なかった
写真の背景に写っていた店のロゴと、メッセージで聞いた好きな作家の名前。手がかりはそれだけで十分でした。SNSの検索欄にいくつか言葉を入れて、3日目に彼女のアカウントを見つけました。猫の写真と、丁寧な文章。画面の中の彼女は、メッセージの印象そのままでした。会ったこともない相手の日常を眺めることが、気づけば日課になっていました。
会ってみて、確信に変わった
初めて会った彼女は、投稿の文章どおりの人でした。話すたびに、俺だけが知っている答え合わせをしている気分になりました。好きな映画も、休みの過ごし方も、聞く前から知っている。それを隠して相づちを打つことが、途中から後ろめたさより優越感に近くなっていたと、今なら分かります。駅までの道で、この時間を終わらせたくないと思い、共通の話題を一番深いところから出してしまいました。
