言った瞬間の、彼女の目
「アカウント、見つけちゃったんですよね」
自分では、距離を縮める冗談のつもりでした。
「教えてないですよね」
彼女の声のトーンが変わったのに、俺は冗談の続きのように言葉を重ねました。
「探せば、わかるものですよ」「猫の投稿、いいなと思って見てました」
言い終えてから、彼女が笑顔を作ったまま一歩下がったのが分かりました。改札に消えていく背中へ、俺は中途半端に上げた手を下ろしました。
そして...
翌日、俺は言い訳と謝罪を混ぜた長いメッセージを送りました。返信はありません。彼女のアカウントを開くと、鍵がかかっていました。当然の対応だと頭では分かっています。ただ、怖がらせたかったわけじゃない、という言葉が本当かどうか、自分でも自信がありません。
会う前から一方的に知っていく時間を、俺は確かに楽しんでいたからです。次に誰かと会うことがあるなら、その楽しさのほうから疑うべきなんだと思います。
(20代男性・IT関連)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
