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極右はなぜエコロジーを語るのか? 気候変動懐疑主義と共存する「緑の反動」の論理

極右はなぜエコロジーを語るのか? 気候変動懐疑主義と共存する「緑の反動」の論理

極右エコロジーに抵抗するには

極右は気候危機を、単なる環境問題として扱うのではなく、移民排除や国境閉鎖を正当化するために用いる。つまり極右エコロジーは、環境保護の言説を通じて、排外主義や権威主義を強化する政治なのだ。

極右の構想する「強い国家」の行き着く先は、気候変動によって移動を強いられた人々に国境を閉ざし、多くの死を生み出す「閉じた社会」である。そこでは、連帯よりも統制と排除が優先されるだろう。これに抗うために必要なのは、公共の権力を再建し、社会的な不安定さをできる限り抑えながら、同時に国家装置そのものを民主化することである。

さらに、極右への支持に繋がる不安を丁寧に分析することも重要である。その背景には、気候変動への不安、文明崩壊への恐怖、移民への不安が複雑に結びついている。加えて、工業資本主義による景観破壊や、風力発電のような気候対策そのものが景観を変えてしまうことへの反発も、極右への支持を生む要因になっている。したがって左派は、こうした不安を単に否定したり嘲笑したりするのではなく、それらがどのように極右の政治へと動員されているのかを見極めなければならない。

また、極右エコロジーと親和的な「近代」批判は、その批判対象が曖昧になりやすい。したがって、近代を丸ごと原因とするのではなく、医療や政治的自由のように維持または改善しうるものと、資本主義的搾取や破壊的インフラのように解体すべきものを民主的に選別する必要がある。極右エコロジーへの抵抗は、それを支える不安の構造を分析し、民主的で連帯的なエコロジー政治を提示することによって可能になる。

気候運動と反ファシズムの共通前線

極右は、気候危機に対して国境の閉鎖や移民の排除によって応答しようとする。これに対抗するために必要なのは、自己防衛と排除を中心とするエコロジーではなく、人間同士の連帯と、人間以外の生き物との共生に基づくエコロジー政治である。

そのためには、エコロジーを不平等の問題として再政治化する必要がある。「エコロジーは全員に関わる」という主張は一般論としては正しい。しかし、エコロジーが政治的なのは、単に全員に関わるからではなく、環境破壊の責任、環境被害、移動の可能性、生活をエコロジカルに転換する能力が、社会的に不均等に分配されているからである。

気候危機においては、地域格差・階級差別・人種差別・性差別によって脆弱な立場にいる人ほど、その被害を強く受ける。この不均等性を明るみに出すことが、エコロジーを再政治化する中心になる。

エコロジーの再政治化に伴って、エコロジー運動の主体を広げることも重要である。これまでエコロジー運動は、白人・中産階級中心の運動とみなされがちであった。しかし、気候危機は、移民、ジェンダー、国境、人種、白人性、化石燃料、極右暴力を相互に結びつけていく。

したがって、エコロジー運動の側も、反人種主義、脱植民地化、フェミニズム、反障害者差別、クィア政治と接続する必要があるのである。土地を守る運動も、排他的な「根づき」や土着性の論理に閉じるのではなく、移動と居住の自由と結びつけられなければならない。気候正義とは、気候危機によって移動せざるをえない人々を受け入れる努力を含むものだからだ。

このように考えると、気候運動と反ファシズムは別々の闘争ではない。反人種主義者や反ファシストの中には、気候やエコロジーを中産階級的でロマン主義的な関心として軽視する人々もいるが、気温が上がれば上がるほど、気候闘争と反ファシズム闘争は一つの前線へと近づいていくだろう。だからこそ、反ファシズムは気候危機を中心課題として扱うべきであり、気候運動もまた反ファシズムを自らの課題として引き受ける必要があるのだ。

参考文献

Stéphane François, Les verts-bruns. L’écologie de l’extrême droite française, Le Bord de l’Eau, 2022.
Antoine Dubiau, Écofascismes. Suivi de « l’écologie n’est pas apolitique », Éditions Grévis, 2022.
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Jean-Yves Camus and Nicolas Lebourg, Far-Right Politics in Europe, The Belknap Press of Harvard University Press, 2017.
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Alain de Benoist, Demain, la décroissance ! Penser l’écologie jusqu’au bout, Éditions Edite, 2007.
Alain de Benoist and Charles Champetier, Manifesto for a European Renaissance, Arktos, 2012.
上野千鶴子『女は世界を救えるか』勁草書房、1986年。
斎藤幸平『人新世の「資本論」』集英社、2020年。
斎藤幸平『人新世の「黙示録」』集英社、2026年。
黒猫ドラネコ『参政党と大陰謀論時代』文春新書、2026年。

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