制約が生み出す新しい表現
──お子さんが生まれてから、お二人は芸人としてどう変化しましたか?
ケムリ 仕事の仕方は変わりましたね。子どもが嫌な気持ちにならないような仕事を選ぶようになりました。ちょっとエロいやつとかはしなくなったり。子どもにとって誇りになるような仕事はしたいので、今も誇りを持って『ラヴィット!』でビリビリ椅子に座ってます。
石田 『ラヴィット!』はいいよな。でもちょうど昨日、飲みながらその話になってん。俺は親として恥ずかしくない仕事を選んできたけど、ダイアンの津田みたいに子どもがいてもお尻に指を突っ込まれてる姿は芸人としてめちゃくちゃかっこいい。ただ、もしその仕事が来ても、俺にはやれない。何ができて何ができないかは人それぞれなんやろうなと。
ケムリ いやー、たしかにそうですね。僕もそもそもエロい仕事が得意な方ではないし。
石田 あと、言葉も選ぶようになるよな。若い頃は刺激的な言葉を簡単に吐けてた。でも子どもが言葉を覚え始めたら、その刺激を残しながらどうやってマイルドに伝えるかという考え方をするようになったかもしれない。
ケムリ わかります。子どもの脳みそって本当に柔らかくていろんなものを吸収するから、世の中のいろんなルールがそれを守ってるんだなというのは親になって気づいたことですね。
子どもたちとやっている番組で『イカゲーム』の話が出た時、子どもが「それ見ちゃいけないんだよ!」と言っていて、年齢制限があることに気づいたんですよ。与えるものを選ぶのはやっぱり必要ですよね。
石田 制限されることで、新しい方法が生まれることもあるしな。
ケムリ 制約って大事ですよね。子どもに何かを説明する時って、クリティカルな言葉では伝わらないことも多いじゃないですか。すると、それを表現するためには言語以外のものが必要になってくることもある。そうやって新しい方法を見つけられることも。
石田 そうそう。僕に関して言えば、制約はありがたかった。子どもができた頃にちょうどルッキズムなんかに対する視線が厳しくなってきていた。子どもがいたおかげで、時代に合わせてアップデートできた、乗り遅れずに済んだと思ってます。
YouTubeルールと、子どもとの未来像
ケムリ あの、石田さんのお宅ではYouTubeとの向き合い方をどうされてますか? ルールがあったりしますか?
石田 僕は基本的には見せないでおきたいという考えだけど、奥さんの手が離せないときにYouTubeを活用することを制限はできないから。幼稚園とか小学校の友達からも情報は流れてくるし。
だから、いい塩梅でやるしかないよね。ただ、僕がいる時にYouTubeを見始めたら、僕は全力で遊び始める。一人でカードゲームとか始めるんですよ。すると、気づいたら子どもたちが俺の方に来てる。
ケムリ YouTubeより面白いんだぞ、と? それはすごいっすね。
石田 YouTubeが全部ダメとは思わないけど、汚い言葉があったりもするし……。ゲーム配信とかでもね。
ケムリ 自分が今後ゲーム配信をすることがあったら子どもも見ていることを想定しようと今思いました。子どもってゲーム配信好きですもんね。
──ケムリさん自身はインターネット好きとしても知られていますが、お子さんとインターネットとの接し方はどのようにしようと?
ケムリ 僕インターネット大好きです、元祖ドパガキ。うちの子はまだタブレットやスマホを使うような年齢ではないですけど、今の時点から自分のアカウントとテレビでYouTubeを流すアカウントは分けていますね。
妻はテレビでYouTubeを観るんですけど、『しなぷしゅ』(幼児向け番組)とか、ママタレントの動画とかしか流れない。アルゴリズムのいいところですね(笑)。今のところはそれでなんとか。
──最後に、ケムリさんから石田さんに聞いておきたいことがあれば。
ケムリ 子どもにどうなってほしいですか?
石田 なんにもない。この先グレてもいいし、クサいとか言われてもいい。ただ、大人になっていつか一緒にお酒飲みたいな、それくらいの仲でいたいなというだけ。
ケムリ それに向けて進んでるってことですか?
石田 そうだね、そのために子どもたちのツレとしていられるようにしてる。仲いいけどケンカもするし、対等な関係でいる感じ。
ケムリ 親御さんともそんな関係でしたか?
石田 いや、僕はオトンとオカンに虐げられてきた。でも、今は飲み仲間になってる。ただ、他の兄弟は全員そうはなってないから、だいぶ僕が歩み寄った結果やと思う。
ケムリ なるほど。石田さん自身は歩み寄ったけども、お子さんとは自然にそうなれたらと。めっちゃいいこと聞けました。ありがとうございました。
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取材・文/青島せとか 撮影/井上たろう

