旅先でも動画やゲームに夢中になり、目の前の景色や家族との会話に関心を示さない子どもたち。一方で、旅行には長い移動や待ち時間も多く、スマホが役立つ場面もある。子どもだけを責めず、親も含めた家族全員で上手な付き合い方を考えてみたい。
せっかくの家族旅行なのに、子どもはずっとスマホ
夏休みは、子どもにとって学校では得られない体験ができる貴重な期間だ。家族で旅行や帰省に出かけ、初めて見る景色に触れたり、その土地ならではの食事や遊びを楽しんだりする家庭も多いだろう。
ところが、せっかく旅先まで来たのに、子どもがスマートフォンやタブレットの画面ばかり見ている――。そんな姿に頭を悩ませる保護者も少なくない。
SNSにも、旅行先でスマホやゲームに熱中する子どもを見た人から、戸惑いの声が投稿されている。
「機内でも食事会場でもゲームスマホタブレット漬けの子が多くてびっくりした」
「せっかく旅行来てるんだから普段できないことしたりお話すればいいのに…と思うことが多々あった 確かに一番静かに待てる方法だろうけどそればっかりっていうのもどうなのかな…て」
「一緒に旅行来てる子がずっとスマホ見てて気まず」
一方、ゲームをしない時間が増えたことで、子ども自身が心身の変化を感じたという投稿もある。
「青森に旅行中の今、息子が言うにはゲームやれないとイライラしたり凹むけど、やらない時間多いとなんだか身体中がサッパリして暗記、記憶力が上がるみたい。。。」
目の前に美しい景色や珍しい体験があるのに、動画やゲームだけを見続ける。大人からすれば、たしかに「もったいない」と感じる光景だ。実際、都内在住の子育て世帯の親からは苦悩の声が聞こえてくる。
「小5の息子と小2の娘と家族3人で行った沖縄の石垣島でのことです。海に行けば、綺麗な海を見たり、シュノーケルで遊んだりするんですが、海にいる以外の移動やホテルや食事のときは基本ずっと携帯型ゲーム機でゲーム三昧でした。美しい川平湾の海を5分見た後、『ゲームやらせて』と……せっかくはるばる沖縄の離島まで来たのに、これじゃ家にいるのと変わらないじゃん」(40代男性)
「夏休みに入ってすぐ小3の娘と東京ディズニーランドに行きましたが、アトラクションの待ち時間を調べたり、ショーのエントリー、レストランのモバイルオーダーなど…スマホを使うことが多く、娘に『ママばっかりスマホ使ってズルい』と言われ口論になりました。
スマホがないと利用しにくいサービスが多くて使ってるだけなのに、思いがけないことを言われてがっかりしました。せっかく夢の国に来たのにスマホやゲームのことは忘れて遊んでほしいですね」(30代女性)
では、旅行中はスマホを取り上げ、完全に使わせないようにすればよいのだろうか。
スマホは「旅を邪魔するもの」とは限らない
総務省の「上手にネットと付き合おう! ~安心・安全なインターネット利用ガイド~」は、スマホなどを子どもに使わせることの危険性だけでなく、将来に役立つ活用法も紹介している。
たとえば、子どもの興味や学びを広げる方法として、次のような使い方を挙げている。
「興味がいっぱいの時期だから好きな・興味のある動植物を動画でチェック。動物の生態や植物の成長が映像で学べます。旅行先のことを調べればワクワク感がアップ。知育アプリなどで“学ぶことの楽しさ”を体験…などなど、子どものプラスになる使い方はいろいろ。細かい部分は大きな画面のほうが見やすいので、タブレットやパソコンも有効に活用しましょう」
さらに、子どもにスマホなどを使わせるメリットは情報収集や学習だけではないという。離れて暮らす祖父母とビデオ通話をすれば、日常的に顔を見ながら交流できるほか、折り紙を教えてもらったり、絵本を読んでもらったりと、「リモートで一緒に遊ぶ」ための道具にもなる。
また、友人親子とのオンラインでの交流や、緊急時の連絡手段、電話のかけ方を練習する機会としても活用できる。使い方を工夫すれば、スマホは子どもの人間関係や生活経験を広げる手段にもなり得る。
つまり、問題はスマホを使うこと自体ではなく、何のために、どのように使っているかにある。
旅先で見つけた花や昆虫の名前を調べる。これから訪れる城や寺の歴史を動画で予習する。地図を見ながら次に行きたい場所を家族で探す。撮影した写真を離れて暮らす祖父母に送り、子ども自身の言葉で旅の出来事を伝える。
こうした使い方なら、スマホは現実の体験を遮断するものではなく、体験を深める道具になる。総務省のガイドも、未就学児から高齢者までを対象に、インターネットを安全かつ有効に利用するための情報を提供している。
親が一方的に「旅行中はスマホ禁止」と宣言するより、「この場所について一緒に調べよう」「撮った写真の中から今日の一枚を選ぼう」と誘うほうが、子どもも画面の外に関心を向けやすい。

