あなたは、電車とホームの隙間を意識したことがありますか。
毎日のように利用している駅でも、その隙間をじっと見つめる人は、ほとんどいないでしょう。
ですが、もしそこから誰かと目が合ってしまったら――。
今回は、ある40代女性から寄せられた「電車の隙間」にまつわる実話怪談をお届けします。
■ ホームにいた、あの男
今から20年ほど前のお話です。
当日は雲一つない快晴の空。
高校が一緒で引っ越してしまった友人と久々に会うため、気持ちよく自転車を漕ぎ、駅前の駐輪場に止めて改札を抜け、ホームへと向かいました。
ホームには人影も少なく、「良かった、今の時間は電車が空いてそうだなぁ」と思いながら電車を待っていると、足音が近づいてきました。
横を見ると、グレーのダボダボとしたスーツを着た、少し髪の薄いメガネの40代くらいの男性が立っていました。
その男の人は顔が真っ白で、無表情でした。
「この人、顔色悪いな。大丈夫かな?」と私が少し気になっているところへ、電車がホームへと滑り込んできました。
車内は空いており、座席も十分に空いていたため、「ラッキー、座れる」と思いながらドアを入り、右側の空席に腰を下ろすと、あのグレーのスーツの男性も同じ車両に乗ってきて、なんと私の隣の座席に座ったのです。
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■ 「待て」と叫ぶ男
何駅か電車が通過したところで、男性がブツブツと何かを言い始めました。
「何言ってるんだろ?」と気になって横を見ると、男性は顔を上に向け、目を閉じ、ひどく眉間を寄せながらこう呟いていました。
「やめろ……やめろって……だめだ! 待て! 待て!! やめろって!!」
次第に男性の声は大きくなっていきます。
怖くなった私が「この人から離れよう」と立ち上がろうとしたその瞬間、男性が――
「待て!!!!」
と大声で叫びました。
直後、キィィィィーッと凄まじい金属音を響かせながら、電車が急ブレーキで停車しました。
車内が「えっ? 何?」とパニックになりかけたその時、車内アナウンスが流れます。
――《人身事故が発生しました。確認のため、しばらくお待ちください》
横に座っていた男性は頭を抱え、グズグズと泣き始めました。
あまりにも激しく泣いているため、流石に無視ができず、私が「大丈夫ですか?」と声をかけると、男性はこう言いました。
「ごめんなさいね、大丈夫。飛び込んだ子はまだ若かったのに、可哀想だよ……」
しかし、座っている位置から、窓の外で何があったのかは見えません。
「この人、やっぱりおかしいのかな?」
「でも、話した感じは普通だったし……」
当時はオカルト系を全く信じていなかったため、私は結局「少し頭の変な人なのだろう」と思うに留めました。
