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孫に「頑張れ」を言えないまま、私は菓子の包み紙を缶にしまい続けている

孫に「頑張れ」を言えないまま、私は菓子の包み紙を缶にしまい続けている

絵で食えなかった若いころ

私は昔、看板職人になりたくて、勤めを辞めて親方のもとへ通ったことがあります。3年で諦めました。腕の差ではなく、収入の差でした。子どもが生まれ、絵筆を段ボールごと処分して工場に入りました。だから孫が美術の道に進むと言い出したとき、口から出たのは「そんな仕事で食べていけるのか」でした。あのころの自分の暮らしを、孫に重ねてしまったのです。孫が課題の話を始めるたび、私はテレビの音量を上げました。続きを聞けば、応援したくなってしまうからです。

祝いの席で箸を置いた理由

孫が食卓で「デザインの仕事に内定をもらったの」と報告した日、私は箸を置いて自分の部屋へ戻りました。怒っていたわけではありません。祝いの言葉と昔の後悔が同時に浮かんで、どちらも口にできませんでした。襖を閉めた部屋で1人、処分したはずの絵筆の柄の感触を思い出していました。あの子は、私が降りた道を先へ歩いていく。それを喜びたい気持ちと、案じる気持ちの区別が、自分でもつきませんでした。

配信元: ハウコレ

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