缶を見せられなかった玄関先
孫の作った包み紙の菓子が店に並んだと、娘から聞きました。開店してすぐの店で1つ買い、包み紙だけを缶に入れて引き出しの奥へしまいました。数日して孫が届け物に来たとき、缶を見せるつもりでした。けれど襖の内側で迷ううちに間が過ぎ、湯のみを出すことも忘れていました。帰り際、玄関先で口にできたのは、結局「体だけは壊すなよ」だけでした。「頑張れ」の一言は、最後まで言えないままでした。
そして...
缶の中の包み紙は、まだ1枚だけです。次の新しい柄が店に並んだら、買う前に、孫の口から仕事の話を聞かせてもらいたいと思っています。その日までは、缶の置き場所を誰にも教えないつもりです。
(70代男性・元工場勤務)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
