番号つきの7つの注文
2年ごとの更新は、今回で2回目です。契約書のほかに入っていた便箋には、注文が並んでいました。換気扇は毎日回すこと。ベランダの排水口は月に1回掃除すること。浴室の窓は開けたままにしないこと。文字は丁寧でしたが、7つ目まで読み終えたところで、私は便箋を封筒に戻しました。前回の更新のときも似た紙が入っていて、この部屋での暮らし方を疑われているような気がしてきました。
世間話のない訪問
数日後、大家さんが部屋を訪ねてきました。書類の確認だろうと玄関を開けると、大家さんの視線は、私の後ろの浴室のほうへ向いていました。
「換気扇は、回しっぱなしにしてもらえてますか」
「はい、だいたいは」
「ベランダの排水口も、月に1度は見てくださいね」
世間話は1つもないまま、頭を下げて帰っていきます。ドアを閉めると、便箋の番号とさっきの視線が、頭の中で重なりました。
