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三島由紀夫ゆかりのホテルで執筆断念…10万部ヒット作を生んだ“奇妙な因縁”【怪人/快人伝 第3回】

三島由紀夫ゆかりのホテルで執筆断念…10万部ヒット作を生んだ“奇妙な因縁”【怪人/快人伝 第3回】

三島が教えてくれた成功の法則

三島事件から2年後の昭和47(1972)年7月、私は“なんでも屋”の週刊誌記者を辞め、仕事のターゲットを政治畑一本に絞っていった。そうしたなかで世に言う「角福戦争」の取材に直面した。田中角栄と福田赳夫による、自民党を二分した双方死力を尽くした総裁選である。

私は事前に両氏の人物像を徹底的に取材した記憶がある。育った環境、政治手法など、まるで異なるなかで、共通項を一つ見つけることができた。共に「時間に厳しい」のである。

田中は、時間、約束事の守れぬ人物を最も嫌った。若き日、東京・神田の街角で好きな彼女と待ち合わせした際も、遅れてきた彼女の姿が見えてきたものの30分だけは待つとの約束だったことから、その姿を無視、タクシーを拾って帰ってしまったくらいである。長じて政界の実力者となっても、約束事を守ることに甘い若手議員を抜擢、重用することはなかった。

福田もまた同様で、大蔵省の若手官僚時代からとにかく時間に厳格で、例えば予約して行く床屋での散髪でさえも、一度として遅れたことはなかったという伝説がある。約束の時が来たら必ず現れることから、官僚当時のあだ名は「消防ポンプ」であった。福田は総裁選で田中に敗れたが、その後、首相の座に就いたことは言うまでもない。

改めて、三島、田中、福田と、事を成す人物は、まず時間に厳しいことを知る。時間にルーズで成功した人物は、まずいないのである。
(本文中敬称略/次回は立川談志)

「週刊実話」8月13日号より

小林吉弥(こばやし・きちや)
政治評論家。早稲田大学卒。半世紀を超える永田町取材歴を通じて、抜群の確度を誇る政局・選挙分析に定評がある。最近刊に『田中角栄名言集』(幻冬舎)、『戦後総理36人の採点表』(ビジネス社)などがある。
配信元: 週刊実話WEB

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