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なぜ働いても家を買えないのか…不動産価格は「23区で年収の17倍、首都圏も12倍」2010年代に購入した人は「宝くじに当たったようなもの」

なぜ働いても家を買えないのか…不動産価格は「23区で年収の17倍、首都圏も12倍」2010年代に購入した人は「宝くじに当たったようなもの」

市場の変調は家を探す人々を救うのか 

東京カンテイが26年2月に発表した都心6区の平均中古マンション価格は前月比0.2%減となり、37カ月ぶりの下落となった。湾岸エリアのタワマンや港区の高級物件など上昇相場を牽引してきた物件での値下げも目立つ。

転売を前提に購入していた人たちが在庫整理のために価格設定を見直す例や、強気一辺倒だったデベロッパー側が販売時期を重ねるタイミングで販売価格を切り下げる例も相次いでいる。リクルートの中路主任研究員は「これまで上がりすぎていたところが少し調整局面に入っているのでは」と分析する。

もっとも、不動産価格が多少下がったからといって、これで住宅が市民の手に届くようになるかは不透明だ。ほとんどの住宅購入は融資を前提としており、金利が上昇している環境下では、月々の返済額は増加する。

1億円を0.5%で借りていた場合の月々の返済額は26万円だが、これが1%になると、28万2000円まで上がる。価格下落のドライバーが金利上昇である以上、給与の上昇が追いつかなければ、無理をしないと家を買えない状況には変わりない。

米国で金融危機が発生する前夜、「音楽が鳴っているうちは、踊り続けなければならない」とウォール街のエリートたちはうそぶいた。その後、リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに株価がどのような変遷をたどったかは皆が知るところだ。

翻って2026年の日本。不動産市場が変調をきたしているように見える中でも、住宅購入のチャンスと見る人は存在する。

住宅ローン利用者の動向を観察し続けてきたMFSの塩澤取締役は「26年4月以降も平均借入額は落ちていない」と分析する。

都内の不動産仲介事業者は、「投資目的で売られているような高値の部屋は買い手がつかず値下げされる例も増えているが、少しでも割安感がある部屋はすぐに買い付けが入る」と語る。

少なくとも、これからも音楽が鳴り続けることを信じて踊る人々はまだフロアに残っており、虎視眈々と次の機会を狙っているようだ。

文/外山尚之 写真/shutterstock

なぜ働いても家を買えないのか (日経プレミアシリーズ)

外山尚之なぜ働いても家を買えないのか (日経プレミアシリーズ)2026/7/101100 円(税込)280ページISBN: 978-4296126996東京23区の新築マンション価格は10年で2倍。
資材価格の高騰がさらなる追い打ちをかける。
もはや、普通の社会人には家を買えないのか。
その深層に、取材記者が迫る!

「なぜ、私たちは働いても家を買えなくなってしまったのか――
この問いに対して、記者として見聞きした取材結果をまとめ、現在の日本で何が起こっているのかを共有できればという思いで筆を執った」
――本文より

【本書の主な内容】
-勃興する「タワマン転売ヤー」
-奔流するチャイナマネー
-「日本で一番警察官が来るマンション」
-集結する「タイガー・マザー」たち
-地方にも「ローカル億ション」の波
-タワマンを次々引っ越す「空中族」
-悪質な事業者の「稼ぎ場」に
-家賃が上がると、極右支持者が増える
-狭小住宅に住む事情
-高級老人ホーム戦国時代が到来
-五輪跡地が転売合戦の舞台に
-「地味駅」の変貌
-二度と市場に出てこない超一等地
-「荒川を越える」挑戦
-ジャイアンツ選手の成長を見守れる部屋
-住宅価格高騰が招く人手不足
-「母になるなら、流山市。」
-たそがれのニュータウン

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