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「コメを作れば作るほど赤字になる」米価急落で農家が悲鳴…「借金8000万円」大規模農家が明かす“令和の米騒動”のその後

「コメを作れば作るほど赤字になる」米価急落で農家が悲鳴…「借金8000万円」大規模農家が明かす“令和の米騒動”のその後

2024年夏の「令和の米騒動」から米価の暴騰、昨年政府が行った備蓄米の放出、2026年初に最高値をつけて以降、一転して急落したコメ価格。消費者目線では急場しのぎは成功したように見えるが、この2年間のジェットコースターのような激動でコメ農家は疲弊した。前編に続いて栃木県の大規模コメ農家・岡田伸幸さんにこの間の現場の実態と将来の展望を聞いた。

「コメあるだけ欲しい」と言っていた業者は…

コメ騒動時に農家に群がっていた集荷業者たちはどうなったのか。

「そうですね。あの当時は『コメはあるだけいくらでも欲しい』と言っていた業者さんもいましたが、今年は『今までの付き合いもあるし買わないことはないんだけど、農協よりは安くなっちゃうよ』と言われています。

どこの業者も高騰時に仕入れたコメをまだ在庫で持て余しているんです。実際に6月から7月にかけて4社ほど、『今回は買えません』と断りに来られました。コメの仲卸業者が3社と大手外食産業が1社ですが、『買えない』という事態を聞いたのは初めてでしたね」

当時は飛び込みで業者が来たり、海外の個人客が訪ねてきたこともあったが、今年に入ってからはそうした例は1件もないという。そんな中、農林水産省は3月末にコメの民間在庫量が11年ぶりに高水準だと発表をした。

「民間在庫量を見てそこからおおよそのコメの価格を算出した時点で、今年は間違いなく赤字だなと思って、余計な出費が出ないように気をつけてきました。ありとあらゆるものを値上がり前に仕入れるとか、農機具のメンテナンスを減らすとかそういったところを削っています。

実は去年末くらいから概算金(JAグループが農家から玄米を集荷する際、販売価格が決まる前に一時的に支払う前払い金)が1万5000円のあたりで推移するのではないかと予測はしていたんです。『2万円では止まるだろう』と予想していた農家さんも周りにはいましたが……。

ウチは業者との付き合いも多く、情報も入ってきていましたから。昨年11月時点で引き取りに来る約束をしていた業者さんのために倉庫にコメを確保していましたが、『来年、6月まで引き取れない』と言い出して結局引き取りに来ませんでした。この頃は概算金がまだ2万円を超えていた時期ですが、今年の6月まで待てば相場がダダ下がりするのはわかっていましたから。ウチもそこまで待っていられないので、安くなったけど他の業者さんに出しました」

「コメを作れば作るほど赤字になる」

岡田農園のある栃木県ではまだ今年の概算金は出ていないが、他県ではすでに1万6000円から1万8000円の概算金が出ている。過去相場と照らし合わせると、どういう評価になるのか。

「高騰時からすると4〜5割、下手すると6割近く下がるわけですが、過去には1万円という時期もありましたので、金額だけで見れば過去一番の安さではありません。しかし、近年の物価の高騰で肥料や農機具にかかるお金、例えばトラクターに入れるオイルが2万円台から4万円台に値上がりしていて、そういったものを加味すると、過去1番に匹敵する水準と言えますね。

さらに今の状況を見る限り来年は概算金が1万円を切る事態にもなりかねない。ウチは2万円切ると利益はありません。中間業者がいくら取るのかにもよりますが、スーパーの店頭価格で5キロ3000円~3500円くらいの水準であれば農家もやっていけると思います」

今夏には3000円を切る特売のブランド米も出現したが、それでは生産者の利益はおぼつかない。

「コメを作れば作るほど赤字になるのがわかっています。規模を減らせば収入も減るのでバランスが難しく、うちでは25ヘクタールあった田んぼを22ヘクタールまで減らしたり、酒米や加工用米の契約を増やしました。

そうすることで主食米を減らせるし、酒米や加工用米は事前契約で金額も決めるのが原則なので、見通しも立てやすいんです。令和のコメ騒動でコメが暴騰して儲かっただろうと言う向きもありますが、それより前の3年は赤字続きでした。高騰時に農機具を新調したり、規模拡大の設備投資をした人たちは今、地獄を見ていると思いますよ。僕もコメ農家をやっていく上で作った借金がまだ8千万円あります。あまりにも赤字が続けばコメ農家を廃業して土地を売り、返済に充てなければなりません」

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