「農家を辞めるという相談がすでにもう3、4件きています」
岡田さんのもとに相談に訪れる同業者が増えてきた。
「コメが高騰時には『続けられるかも』と話していた人たちの中でも、今年で農家を辞めるという相談がすでにもう3、4件きています。この金額になると職業農家は生活が成り立たないです。兼業農家や細々とやっている人は機械の更新とかをしなければなんとかやっていけますが、利益どころか給料や年金の投入を強いられるケースも出てくるでしょうね。
離農者が増えると水路や環境整備の維持管理もできなくなるし、耕作放棄地が増えると鳥獣被害も増加します。イノシシや熊の隠れ場にだってなりますから」
視点を消費者目線に移して、概算金が高騰時の半値近くまで下がっている現状で、コンビニの弁当類や牛丼チェーンは値下がりしないのだろうか。
「1回値上げしたものは簡単に下げないような気はします。企業が言い訳にする『加工費が上がった』というのも実際のことでしょうしね。今シャケのおにぎりが平気で200円とかしますよね。高いと思うけど、米価の下落幅に応じて一気に下げるようなことはないでしょうね」
「僕は農業って防衛と同じくらい大事なことだと思います」
最後に、鈴木農水相の掲げる「需給に応じた生産」で、米価を適正に維持できるようになるのだろうか。
「コメがなければ価格は上がるわけですけど、高いコメなら買わないという人が増えれば国産米の消費は減りますよね。ましてや今は主食にもコメ以外の選択肢が色々あるわけですし。
ただ、日本で唯一、高い水準で自給率を維持できてるのはコメだけなんで、そのコメの消費や自給率が下がることに危機感はあります。僕は農業って防衛と同じくらい大事なことだと思います。輸入に頼り過ぎたら対応できなくなる。
例えば輸出国側で大干ばつが起きたらどうしますか。工業製品と違って作りすぎたから絞るということは簡単にはできない。豊作か不作になるのかもわかりませんし、主食に関しては一定のバッファは必要だと思うんですよ。廃棄するのではなく家畜の飼料に使うでもそのはけ口があればいいと思うんですよ。
ギリギリの量でちょっとでもほころびが生じれば、コメ騒動のようなことになるわけですから。根本的に解決しようと思ったらアメリカや欧州のように所得補償や価格保障を行うか、何か新しい仕組みや枠組みを作らないと無理でしょう。
我々コメ農家は、おいしいコメを少しでも安くして食べてもらいたいという思いですが、生活ができなければ続けてはいけなくなります。今年の赤字はもう確実ですけど、今はやるしかないと割り切って淡々と同じことを続けています」
これ以上生産者に負担をかけることは、国難を招くのと同義ではないか。
※「集英社オンライン」では、今回の記事に関連した情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(旧Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

