2025年の大晦日、水戸市のアパートで住人のネイリスト・小松本遥さん(当時31歳)が命を奪われた事件から8か月。殺人とストーカー規制法違反の罪で起訴された元交際相手の会社員・大内拓実被告(29)の初公判が9月14日、水戸地裁で開かれる予定だ。
大内被告は、位置を特定できる「紛失防止タグ」を悪用し、小松本さんの居場所を突き止めたとされている。紛失防止タグの悪用によるストーカー被害は増加しており、こうした行為への規制を盛り込んだ改正ストーカー規制法が2025年12月に施行されたばかりだった。
クマのぬいぐるみに紛失防止タグ
事件現場となったアパートは水戸インターチェンジ近くの閑静な住宅街にあり、小松本さんはそこで夫と2人で暮らしていた。
小松本さんは2025年の春にはネイルサロンを開業。事件当時は妊娠しており、仕事もプライベートも順風満帆な中で起きた悲劇だった。犯行の状況について社会部デスクが解説する。
「午後5時34分~41分の間、小松本さんは何度もハンマーで頭などを殴られ、首を包丁で突き刺されるなどして殺害されています。お腹の子を守ろうと必死で抵抗したのでしょう。小松本さんの両腕には攻撃を避けようとしてできた防御創が多数あり、小松本さんが倒れていた玄関先には血だまりができるほどでした」
事件当初から、被害者に恨みを持つ人物が激しい殺意で犯行に及んだ可能性が高いとみられており、捜査線上に浮かんだのが元交際相手の大内被告だった。
「小松本さんと大内被告は、小松本さんが勤めていた茨城県内の飲食店で知り合い、事件の2年ほど前に一時期、交際していました。大内被告と別れた後、小松本さんは結婚して転居していました。
大内被告は復縁を迫って何度もSNSなどで連絡を取ろうとしましたが、拒否され、2025年の暮れには共通の知人から小松本さんの転居先を執拗に聞き出そうとしましたが、聞き出せませんでした」(同前)
転居先をどうしても知りたかった大内被告が使ったのが、紛失防止タグだった。小松本さんが好んで集めていたキャラクターのぬいぐるみに紛失防止タグを仕込み、置き配を装って小松本さんの実家に届けた。
「交際期間中に2人が訪れた関東の人気テーマパークの主要キャラクターのぬいぐるみで、箱の中にはテーマパークの懸賞に当たったように見せかけるメッセージが同封されていました。家族から連絡を受けた小松本さんは、ぬいぐるみを自宅に持ち帰りました。
自宅を突き止めた大内被告は12月28日~31日の計4日間、小松本さんの自宅周辺を訪れ、31日には小松本さんの車のナンバープレートの裏側に紛失防止タグを取り付けています。ぬいぐるみの件は改正ストーカー規制法の施行前だったため(その容疑では)立件できませんでしたが、車の件はストーカー規制法違反の疑いで逮捕され、起訴されています」
「初めての彼女」「年上で姉さん女房なんだ」とデレデレしていた
逮捕直後、大内被告は容疑を否認し、その後は黙秘していたが、関係者によると、一転して関与を認める供述をしているという。大内被告を犯行に駆り立てたものは、一体何だったのか。集英社オンラインでは#4、#6で、2人の交際の様子を知る人物の証言を得ている。大内被告がよく訪れていた店の関係者は、当時こう語っていた。
「小松本さんと思われる女性と一緒にウチに来た事もあります。大内くんは『初めての彼女』とか『年上で姉さん女房なんだ』とかデレデレしていて、女性の方も楽しそうにしていました」
事件当時、大内被告は電気自動車のバッテリー製造会社に勤めており、職場の同僚も小松本さんとの関係について記憶していた。
「会社の飲み会で大内が『彼女がいます。年上でネイリストなんです』と打ち明けたのを覚えています。それ以降も大内は『この間の休みの時に彼女と買い物に行ったんですよ』とか『彼女可愛いんですよね』とか『好きなんですよね』と頻繁にのろけるようになりました。ところが(事件の)1年ちょっと前に『フラれちゃったんですよね』と落ち込んで悲しげにしていました」(職場の同僚)

