休息や仮眠によって能力が向上
次に、デフォルトモード・ネットワークの機能を見てみよう。
ある実験で、仕様や性能の異なる車を4台用意し、80人のグループに最も良い車を選ばせた。
40人には5分間ずっと選ぶ作業に集中してもらい、残りの40人にはリラックスして休憩をとり、別のことを考えるよう指示した。
その結果、後者のグループのほうが良い車を選ぶ確率が高く、より効率的に作業に取り組んだことを、アムステルダム大学の研究チームが発見した。
もうひとつの例は、12時間の夜勤をこなした52名の医師と看護師の観察結果である。実験で半分のグループは40分間の仮眠をとり、もう半分は働きつづけた。
こちらの結果も、仮眠をとったグループのほうが、注意力のテストや、カテーテルの挿入など医療シミュレーションの訓練ですぐれた成績をおさめたことを、スタンフォード大学の研究チームが発見した。
つまり、何もしないことで、何をするにも、能力が向上したのだ。
デフォルトモード・ネットワークの効果を得るために必要な時間は、まだはっきりとはわかっていない。
だが、「あるシナリオについて考えうるかぎりの結果をあげる実験」(いわゆる「結果テスト」)では、20分間の休憩を与えられた参加者は、休憩をとらなかった参加者よりも、はるかに成績がいいことが明らかになっている。
何もしない時間が長いほど脳にいい影響を与える
また、わずか10分の休憩をとるだけでも点数は向上する(なお、結果テストの例として「人間が睡眠を必要としなくなったら、どうなるか?」と尋ねるものがある。
考えられる回答には、「より多くのことができる」「疲労がなくなる」「目覚まし時計が不要になる」などがある)。
さらに、問題解決、空間認識、言語推論といった能力を必要とする課題は、いずれも30分間の休憩によってパフォーマンスが向上する。増加率の計算から、「k」で始まる単語をできるだけ多くあげるといった問題まで、すべてが同じ結果となった。
加えて、休憩の必要性がはっきりと証明されているのは、間違いなく最新のメタ分析(複数の研究データを統合して解析を行う方法)だろう。
この分析によって、問題解決の分野における研究の73%で、30分間の休憩だけでなく、より長い4〜24時間の休憩のあとにも、プラスの効果が報告されていることが判明した。
つまり、何もしない時間が長いほど、脳にいい影響を与えるのだ。
文/ジョセフ・ジェベリ 写真/shutterstock

