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夏の風物詩「桂文珍独演会」は今年も大盛況! 小朝の「池田屋」と文珍の「星野屋」が競演

トリは大ネタをじっくり聞かせる

中入り後、舞台の黒い背景の前には金屏風。文珍は紋付き袴姿で現れ、会場の空気もぐっと引き締まります。

最後の一席は、上方落語の大ネタ「帯久」です。「世の中にはライバルがおりまして、同じ商売をやるとなかなか難しい」と語り、和泉屋与兵衛と帯屋久七という2人の物語へ。

12月、久七が和泉屋を訪ねるところから噺は始まります。商売が順調だったころの和泉屋は、苦しい時期の久七に何度も金を貸していました。しかし、やがて和泉屋の家運が傾き、与兵衛自身も病に倒れて寝たきりに。月日が流れ、2人の立場は完全に逆転しています。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

かつての勢いを失い、すっかり小さくなってしまった与兵衛を、文珍は背中を丸め、弱々しい姿で表現。一方、そんな与兵衛に対してまくしたてる久七。恩を受けた相手に対するあまりにも非情な振る舞いに、人間の欲や身勝手さが浮かび上がります。

そして舞台はお白州へ。ここで文珍が演じる奉行は貫禄たっぷり。鮮やかな奉行の裁きに留飲が下がる思いで堂々たる締めくくりとなりました。

すべての高座を終え、文珍はこの日、披露した三席を振り返りました。「星野屋」については、若い落語家たちにも教えてきた噺であると語り、さらに今年、大阪松竹座で歌舞伎『心中月夜星野屋』として上演され、中村七之助がおたかを演じたことにも言及します。そして最後は、「次回は45回目。どうぞ皆さんもお元気で」と客席に呼びかけました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

新作で現代を笑いに変え、「星野屋」では男女の駆け引きを軽妙に描き、最後は「帯久」という大ネタで人間の業と裁きをじっくりと聴かせた文珍。44回目の「吉例88」は、現在の文珍だからこそ届けられる、落語の多彩な魅力が詰まった一夜となりました。

配信元: FANY Magazine

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