最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
「少しだけ」に7回応じた私、水族館を諦めて返した8回目の言葉

「少しだけ」に7回応じた私、水族館を諦めて返した8回目の言葉

「少しだけ」で始まった夏休み

娘と同じクラスの男の子の母親から、夏休みの初日にメッセージが届きました。私は在宅で事務の仕事をしており、夏休みは仕事をしながら娘と過ごす予定でした。

返事を考えていると呼び鈴が鳴り、玄関にはリュックを背負った男の子と母親が立っていました。

「少しだけ、お願いできない?」

事情を聞き終える前に、私は男の子を家へ上げました。娘と2人で宿題を始めたため、これなら大丈夫だと思ったのです。ところが、パートが終わるまでという話だったのに、迎えが来たのは夕食の支度を始めたころでした。

仕事を中断して飲み物を用意し、宿題の質問にも答えました。それでも、困っている相手を断るほうが気まずく、その日は何も伝えずに見送りました。

水族館を諦めた7回目

次の日も依頼が届きました。3回目からは事情の説明がなくなり、「明日も、少しだけいい?」とだけ書かれるようになりました。

返すのは、いつも「大丈夫だよ」という承諾です。仕事を中断する回数は増えましたが、一度応じた相手へ途中から断るのは悪い気がしていました。

7回目の依頼が届いた日は、娘と水族館へ行く予定でした。前売り券も買っていました。それでも予定を伝えず、「大丈夫だよ」と送りました。

玄関で靴を履いていた娘は、男の子が来ると私を見上げました。

「今日、水族館じゃないの?」

券を冷蔵庫へ戻すと、娘は靴を脱ぎ、男の子の隣で宿題を開きました。

迎えに来た母親は、玄関先で言いました。

「お仕事、家でできるんだもんね。うらやましい」

私は戸を押さえたまま、何も伝えずに見送りました。

配信元: ハウコレ

あなたにおすすめ