8回目に送った断り
再び「明日も、少しだけいい?」と届きました。やり取りをさかのぼると、引き受けたのは7回です。
忙しいと書けば、在宅勤務なのにと思われそうでした。家族の予定を出せば、預かりたくないだけだと受け取られそうです。断る文面を何度も書き直し、最後に残った言葉を送りました。
「今年の夏は、うちの家族のために時間を使いたいの」
返事はすぐに届きました。
「え、急にどうしたの?」
急ではありません。ただ、私は7回の間、仕事を中断していることも、水族館を諦めたことも伝えていませんでした。断らずに応じ続けたのは私です。それでも、残りの夏休みまで同じ形にはしたくありませんでした。
そして...
数日後、公園の水飲み場で顔を合わせました。男の子は娘に手を振り、そのまま滑り台へ走っていきました。
「この前はごめん」
母親はそれだけ言い、男の子のあとを追いました。それから、預かってほしいという連絡は届いていません。
水族館の券は買い直しました。冷蔵庫の扉には、新しい券と娘が書いた夏休みの予定表が並んでいます。水族館の日には、今度こそ大きな丸がついています。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
