痛みがすぐに消失する人も少なくない!

私は、腰痛やひざ痛などの悩みを抱えている人に、まず歩くことを勧めています。人間は二足歩行で進化してきた動物です。歩くことで骨格が整い、治りが格段に早まるのです。

歩く習慣がない人が、いきなり大股で歩くと、左右差が出て骨盤のゆがみを助長させかねません。なるべく小股で歩きましょう。また、かかとから地面に足を着地させることを意識してください。

もちろん、筋力もつくので近年叫ばれるサルコペニア(加齢による筋肉量の減少)対策にもなります。

反対に歩く機会が減少すると、足腰はどんどん衰えます。家にこもりがちな生活は、骨格のゆがみや関節痛の大きな原因になるのです。これは、日々、患者さんを診察していて強く実感しています。

とはいえ、歩くことを苦手に感じている人も少なくないのも事実です。昨今のコロナ禍で外出に抵抗がある人は少なくないでしょうし、悪天候だったり、花粉症がつらかったり……。

そうした人たちに、お勧めしたいのが、足首を振る「足首パタパタ」です。

やり方は下項をご参照ください。この体操は、歩く動作から生み出された体操で、正しい二足歩行をできる限り再現したものです。あおむけになって、左右の足首を手前と奥の交互に振るだけで、腰やひざ、頭痛や肩こりなどの解消が期待できます。

足首を振ることで、足首を手前と奥の交互に曲げることになります。

足首を手前に曲げる動作は、ふくらはぎと太もも裏の筋肉が伸びて、寛骨が後ろに回旋し、仙腸関節が締まります。また、足首を奥へ伸ばす動作は、ふくらはぎと太もも裏の筋肉が縮み、寛骨が前に回旋し、仙腸関節が緩みます。

この仙腸関節を締めたり緩めたりする動作をくり返すことで、骨盤の左右のバランスが整い、本来の正常な位置に戻ります。さらに、股関節や、ひざ関節がよく動くようになり、ズレの解消につながります。

これらが本来あるべき位置に戻ることで、骨や関節に付随する筋肉や神経、血管などのズレもなくなります。それらは痛みの原因になっていた炎症や、神経の引っ張りや圧迫の解消につながります。実際、骨盤のゆがみを正すだけで、痛みがすぐに消失したと感じる人も少なくありません。

もちろん、背骨を本来あるべき形に整えることにもつながります。これは頭痛や肩こり、背中の痛みなどの解消にも役立ちます。

足首パタパタは、朝夜の2回に分けて行うのがお勧めです。

朝は起床してすぐ。こり固まった体をほぐし、痛みを出にくくして、一日を通じて歩きやすさが向上します。転倒防止や階段の上り下りなどの動作も楽になるでしょう。

夜に行うと、一日の骨格のゆがみを取ってから就眠できるため、翌朝はまた体を動かしやすくなるでしょう。

足首パタパタは、前述のとおり、ふだんあまり歩かない人にお勧めです。ひざや股関節に痛みがあって、歩くのがつらい人にも行ってほしいと思います。

ただし、足首を痛めている人や、血栓の治療中の人は、控えてください。また、行っている最中に痛みが出た場合は中止してください

骨盤がゆがんでいると、ひざに負担がかかります。「足首パタパタ」で足を振って、骨格を正し、自分の足で元気に歩ける体を手に入れてください。

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足首パタパタのやり方

※慣れないうちは行うのは1分でもよい。目安は各30回。
※慣れてきたら速度を速めて、100回程度行う。
※②と③は逆の順序で行ってもよい。
※①〜④を1セットとし、1日3セットが目安。何セット行ってもよい。
※座りながら行ってもよい。

あおむけになって、両手を骨盤の左右に置く。
3秒かけて、左の足首を大きくゆっくりひざ側に反らすとともに、右の足首を反対側に伸ばす。

▲▼骨盤の上に置いた手は動かさない。骨盤が足首と連動して動くのを感じ取る。

3秒かけて、右の足首を大きくゆっくりひざ側に反らすとともに、左の足首を反対側に伸ばす。
3分間、②と③を交互にくり返す。

NG!ひざを曲げない

この記事は『壮快』2022年5月号に掲載されています。

画像参照:https://www.makino-g.jp/book/b602294.html