何から始めたらいい?投資初心者におすすめの資産運用方法と始め方

投資にはさまざまな方法があり、投資初心者の方はリスクやデメリットを考慮して投資にチャレンジしたいもの。今回は、初心者におすすめの資産運用方法や投資の心得をご紹介します。将来の資産形成や老後の資金のために、少額から長期投資・分散投資を心がけましょう。

投資初心者におすすめの資産運用7選

投資にはリスクが伴い、投資方法によっては元手となる資金額が大きいものもあります。経験や知識の少ない投資初心者が投資を始めるには、次の7種類から選ぶのがおすすめです。

●投資信託
●個人向け国債
●株式投資
●iDeCo(個人型確定拠出年金)
●ミニ株(単元未満株)投資
●ポイント投資
●ロボアドバイザー

それぞれについて簡単に説明します。

投資信託

投資信託とは、複数の株式や債券などに投資することができるパッケージのような金融商品です。資産運用の専門家が投資家から資金を集め、それをまとめて投資・運用し、その運用成果が投資家に還元されるという仕組みです。
少額から始められるうえ、運用をプロに任せられるため、初心者でも始めやすいでしょう。

投資信託のメリット

投資信託のメリットは以下のとおりです。

●少額から投資可能
少ない資金でも投資することができ、ネット証券では100円から購入可能な場合もあります。

●分散投資によりリスク軽減
株式や債券など複数の資産に分散して投資するため、リスクが軽減されます。

●プロが運用
自分で銘柄を選んだり、資金を配分する必要はなく、手間がかかりません。

投資信託のデメリット

投資信託のデメリットは以下のとおりです。

●損失が出る可能性も
投資対象の株式や債券は価格が変動するため、投資信託の基準価額(投資信託の価格)も変動します。元本割れして損失が出る可能性もあります。

●手数料がかかる
投資信託は原則、購入時には「購入時手数料」、保有時には「信託報酬」、売却時には「信託財産留保額」といった手数料がかかります。手数料は商品によって異なり、購入時手数料や信託財産留保額がないものもあります。

●タイムリーな投資ができない
ETF(上場投資信託)を除き、投資信託は上場していないので、リアルタイムで売買することができません。通常、基準価額の更新は1日1回で、注文受付終了後に算出されます。よって、注文した時点では取引成立価格が分かりません。

投資信託に向いている人

一般的に、投資信託は長期保有(10年以上)することで資産を増やせる可能性が高まるので、長期的な資産形成を目指している人に向いています。まとまった資金がなくても、毎月定額をコツコツと投資していく「積立投資」であれば、少額から無理なく始められ、リスクを抑えながら資産を増やしていくことが可能です。

投資信託を始めるなら、税制上のメリットがある「つみたてNISA」の利用を検討してみましょう。NISA制度については次の章で詳しく紹介します。

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個人向け国債

債券は、国や企業が投資家から資金を借り入れた証書として発行する有価証券です。その中でも国が発行する債券を「国債」といいます。
そして、個人でも購入できるのが「個人向け国債」です。銀行や証券会社などで購入することができます。半年ごとに利子が支払われ、満期を迎えると最初に投資したお金(元本)が戻ってきます。

個人向け国債のメリット

個人向け国債のメリットは以下のとおりです。

●安全性が高い
発行体は国ですので、安全性の高い金融商品です。満期時の元本や半年ごとの利子の支払いも、国が責任を持って行います。

●定期預金よりも金利が高い
個人向け国債は年0.05%の最低金利が保証されています。2023年6月現在、メガバンクの定期預金金利は0.002%であるため、銀行に預けておくよりも高い利子が付きます。

●少額投資が可能
最低1万円から、1万円単位で購入が可能です。

個人向け国債のデメリット

個人向け国債のデメリットは以下のとおりです。

●募集期間が決められている
個人向け国債は通常毎月発行されますが、発行日に先立つ募集期間内でしか購入できません。

●すぐに換金できない
原則、発行後1年間は中途換金ができません。1年経過後は換金可能ですが、手続きに3営業日ほどかかり、銀行預金のようにすぐにお金を手にすることはできません。
また、中途換金の際には、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。

●収益性はあまり高くない
安全性が高い反面、投資信託などに比べると高い収益は期待できません。ローリスク・ローリターンの金融商品です。

個人向け国債に向いている人

個人向け国債は、ある程度まとまった資金があり、安全性に重点を置いて堅実に資産形成したいという人に向いています。多くの金融機関が、購入額に応じて現金をプレゼントなどのキャンペーンを行なっているので、購入する際には比較検討してみましょう。

【あわせて読みたい】【初心者向け】そもそも国債ってなに?国債の買い方やメリット・デメリットなど

株式投資

株式投資とは、証券取引所に上場されている株式を売買して収益を得る投資方法です。インターネット取引が拡充している現在、正しい知識を学ぶことで、投資初心者であっても気軽に始めることができます。

ただし、株式は価格変動が大きく、大きな利益を得られる可能性がある一方、大きな損失を出してしまう可能性もあります。メリットとデメリットをしっかりと理解したうえで、株式投資に取り組むようにしましょう。

株式投資のメリット

株式投資のメリットは以下のとおりです。

・大きな利益が出ることも
株式投資の最大のリターンは、株価上昇による「値上がり益」です。購入した価格より高い価格で売却することができれば、その差額が利益になります。また、企業が利益を出した時には「配当金」を受け取ることができます。

・株主優待が受けられる
企業によっては、自社の製品やサービスを提供する「株主優待制度」を実施しています。株を購入して株主になることでさまざまな優遇を受けられることがあります。

・経営に参加できる
株主には保有株数に応じた議決権が与えられます。株主総会に出席し、議決権を行使することで企業の経営に参加できます。

株式投資のデメリット

株式投資のデメリットは以下のとおりです。

・大きな損失が出ることも
購入した株式が必ず値上がりするわけではありません。値下がりする可能性や、投資した企業が倒産して大きく損することもあります。株式は、ハイリスク・ハイリターンの金融商品です。

・情報収集が欠かせない
株価は常に変動しますので、株価を随時確認しなければなりません。株式投資で利益を出すためには、日頃から市場の動向や企業の業績をフォローする必要があります。

・投資金額が比較的高い
株式投資は、原則として100株単位の取引となり、購入には比較的大きな資金が必要です。例えば、株価が2,000円の株式を購入するためには、2,000円×100株=20万円の資金が必要になります。

株式投資に向いている人

株式投資は、余裕資金があり、多少リスクをとっても積極的に運用してみたいという人に向いています。株式投資を行うと、国内外の経済情勢に関心を持ち、投資の知識も高まるので、これから本格的に投資を行なっていきたいという人は、株式投資にチャレンジしてみてもよいでしょう。

iDeCo

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは、個人が任意で加入する私的年金の制度です。税制上のメリットを受けながら将来受け取る年金を増やすことができます。

iDeCoは、自分で掛金額を決め(個人の属性によって上限があります)、それを積み立てながら自分で運用し、老後の資産を形成していく仕組みです。基本的に20歳以上65歳未満の人が加入でき、積み立てた資産は原則60歳から受け取ることができます。

iDeCoのメリット

iDeCoのメリットは以下のとおりです。

●掛金が全額所得控除
掛金全額が所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。

●運用益が非課税
通常、金融商品の運用で得た利益(運用益)には約20%の税金がかかりますが、iDeCoなら非課税です。

●受取時の税負担も軽減
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。

●元本確保の商品もある
iDeCoの運用商品は「元本確保商品」と「投資信託」の2種類で、「元本確保商品」(定期預金や保険商品)なら元本割れのリスクがありません。ただし、iDeCoの手数料が利息を上回る場合もありますのでご注意ください。

iDeCoのデメリット

iDeCoのデメリットは以下のとおりです。

●加入年齢に上限がある
iDeCoに加入できる年齢は原則65歳未満と決められているため、加入後の運用期間が短いと、運用収益が上がらない場合があります。

●60歳までは引き出せない
iDeCoは老後の資産形成を目的とした年金制度であるため、積み立てた資産は原則として60歳にならないと引き出せません。

●手数料がかかる
iDeCoは加入時手数料、口座管理手数料などがかかります。口座管理手数料は利用する金融機関によって異なりますので、できるだけコストの低い金融機関に加入しましょう。

iDeCoに向いている人

iDeCoは掛金が全額所得控除といったメリットがある反面、60歳まで引き出すことができないため、収入が一定程度あり節税効果が高い人、ある程度貯蓄があって60歳までの出費に備えられる人に向いています。

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ミニ株(単元未満株)投資

ミニ株(単元未満株)投資とは、通常より少ない資金で株式を購入できる取引方法です。通常、株式取引は単元株(100株単位)で購入しなければなりませんが、ミニ株は10株から、単元未満株は1株から購入することができます。

ミニ株(単元未満株)投資のメリットは、少額でも株式投資ができるという点です。また、少しずつ買い増していったり(時間の分散)、複数の銘柄を買ったり(銘柄の分散)といった分散投資が可能で、リスクを抑えることができます。

注意点としては、単元株より手数料が割高になること、取扱いのある証券会社や対象銘柄が限られているということです。また、リアルタイムの取引ができず、自分の狙った株価で売買ができないことがあります。

ポイント投資

ポイント投資とは、dポイントや楽天ポイントなど、日常生活で貯まったポイントを使って投資ができるサービスです。大きく分けて「ポイント運用型」と「ポイント投資型」の2種類があります。

「ポイント運用型」はポイントそのものを運用するもので、株式や投資信託の値動きに応じてポイントが増減します。運用したポイントはそのまま引き出すことになり、現金を受け取れるものではありません。金融商品を直接買い付けることはないので、証券口座の開設は不要で、手数料もかかりません。

「ポイント投資型」はポイントを現金化して金融商品に投資するもので、証券口座の開設が必要です。金融商品の購入にポイントを利用するだけで、基本的な投資の流れは通常の投資と変わりません。分配金・配当金や売却代金は現金で受け取ります。

ポイント投資のメリットは、元手となる資金を現金を使わずに手軽に投資ができるということでしょう。自己資金を減らす心配から投資に手を出せない人も多いと思いますが、ポイント投資であればその心配はありません。また、少額から投資可能なので、投資体験として始めてみるのもよいでしょう。

注意点は、購入できる投資商品が少ないこと、コストが割高になる場合があることです。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとは、人工知能(AI)が投資のアドバイスや実際の運用をしてくれるサービスです。大きく分けて「アドバイス型」と「投資一任型」の2種類があります。

「アドバイス型」は、利用者のリスク許容度に応じて、最適な資産配分を提案してくれます。ただし、実際の商品の購入や運用は自分で行います。一方、「投資一任型」は、最適な資産配分を提案したうえで、実際の運用まで自動で行なってくれます。

ロボアドバイザーのメリットは、手間なく投資を始められることです。無数にある投資商品から自分に合ったものを選ぶのは、大変な労力と時間がかかります。ロボアドバイザーなら、始めにいくつかの質問に答えるだけで、最適な投資先を提案してくれます。さらに「投資一任型」であれば、商品の購入から運用、リバランスまですべてを一任できるので、より手間がかかりません。

注意点は、「アドバイス型」は一般的に無料ですが、「投資一任型」は手数料がかかる(運用金額の1%程度)ことです。また、ロボアドバイザーは長期投資を前提としているため、短期間で利益を出したいという人には向いていません。

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初心者はNISAから始めよう

ここまで、投資初心者におすすめの資産運用方法をご紹介してきましたが、このほか、投資初心者は「NISA」を積極的に利用することをおすすめします。

NISAとは?

NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)とは、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品の利益が非課税になる制度です。
通常、株式の値上がり益や配当金など、投資で得た利益には約20%の税金がかかります。しかし、NISAを利用すれば、税金がかからずに利益がそのまま手元に残ります。

現行のNISA制度は、「一般NISA」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」の3種類があります。なかでも「つみたてNISA」は、対象商品が長期の積立・分散投資に適した投資信託に限定されていて、リスクを抑えた運用が可能なため、投資初心者でも利用しやすくなっています。

2024年から新制度へ

なお、現行のNISA制度は2023年で終了し、2024年からは「新NISA」へと移行します。

新NISAの変更点について簡単にみておきましょう。

まず、「ジュニアNISA」は廃止となります。
そして、現行NISAは「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらか1つしか利用することができませんが、新NISAでは、一般NISAに相当する「成長投資枠」と、つみたてNISAに相当する「つみたて投資枠」の併用が可能になります。

また、非課税保有期間の無期限化、投資枠の大幅拡大、投資枠の再利用が可能など、これまでより使い勝手がよくなることが見込まれます。

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NISAのメリット

NISAのメリットは以下のとおりです。

●投資で得た利益は非課税
NISAを利用して購入した株式や投資信託の運用益(値上がり益や配当金・分配金)はすべて非課税です。これがNISAの最も大きなメリットです。

●投資のリスクが抑えられる
NISAの投資対象は上場株式や投資信託で、投資のリスクが高いとされる金融商品は除外されています。特に「つみたてNISA」の対象商品は、金融庁が定めた要件を満たす、比較的安定運用が可能な投資信託に限定されています。

NISAのデメリット

NISAのデメリットは以下のとおりです。

●NISA口座は一人一口座のみ
通常の証券口座は複数もつことができますが、NISA口座は一人一口座しか開設できません。金融機関によって手数料や取扱い商品が異なりますので、口座を開設する前に比較検討するようにしましょう。

●損益通算ができない
通常、投資で利益が出た場合は税金がかかりますが、損失が出た場合には、その分を利益から差し引いて税金を減らすことができます。これを「損益通算」といいます。NISA口座は、利益に税金がかからない反面、損失が出ても、ほかの口座で出た利益と損益通算ができません。