洋栗の味を活かした風味が全て。どこまでも引き算な『モンブラン』

素材選びの中で佐藤シェフが大切にしていることのひとつが季節感。それは、味だけでなく見た目の面にも表れています。約20種類の生菓子が並べられた『BASCULE(バスキュール)』ショーケース。見ると鮮やかな色合いと落ち着いた色彩のトーンで、秋らしさを感じるラインナップです。

そんな秋の新作が並ぶ中、特に人気なのが『モンブラン』。聞くと、ボトムはメレンゲ。中には生クリームを使った軽めのシャンティを入れ、マロンクリームで覆った、見た目も構成も超シンプルな作りです。

佐藤シェフ「周りのパティスリーがどこも和栗を使っていたので、うちはあえて洋栗を使用しました。洋栗を煮込み、バニラのシロップに漬込んでいます。直接的な甘さは避けたかったのでお砂糖は控えて、マロンペーストの調合でバランスを整えました。後は、舌触りを整えるために水あめとバターが入っているくらい。いたってシンプルです」

しかし私たちの想像を超え、どれを食べても『BASCULE(バスキュール)』のケーキは喜びにあふれています。味がしっかりした洋栗はバニラの風味と調和。メレンゲの食感と共にフランス菓子らしい印象を受けます。

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2つのケーキが見事に交わる。柚子とマロンを使った今季の新作『ミルフィーユ』

素材の活かし方を熟知しているからこそ、珍しい素材同士のマリアージュを楽しめるのが『BASCULE(バスキュール)』です。今回、秋の新作として初登場したのが『ミルフィーユ』。

見た目はとってもクラシックな形。しかし、バターの香るフィユタージュの間には、マロンをふんだんに使ったクリームと、柚子のクリーム。上下で全く異なる素材を使ったミルフィーユは、まるで2つの異なるケーキを重ねているようです。しかし、食べるとマロンの甘さと柚子の酸味が絶妙なマリアージュに。サクサクとした生地に絡むように現れるマロングラッセの食感が繊細で、最後まで夢中になる味わいに。

これまで食べたことのない『ミルフィーユ』に驚きながらも、見た目と味わいの一体感を感じる仕上がりに。

佐藤シェフ「お菓子って時代と共にどんどん進化していくじゃないですか。昔、考えたケーキを今見直したら古臭いなって思ったりして。そう思ったらやっぱりその時の考えるのが一番いい。

今でも『パリ・セヴェイユ』という名前からくる期待をひしひしと感じます。そういうものに抗うのではなく、今自分ができる最大値を探していけたらいいですね」

“その時の肌感こそ全て”という思いから現在、スペシャリテを決めていない佐藤シェフ。

たった1つの支柱と大きな板で作られるシーソー。その単純な作りだからこそ楽しみ方は無限大です。変化する時代に合わせた発想力と柔軟性でこれからも、多くの人に愛され続けるであろう『BASCULE(バスキュール)』に、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

About Shop
BASCULE(バスキュール)
神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央22−15
営業時間:11:00~19:00
定休日:火、水 ※Instagramで要確認

園果わたげ

ウフ。編集スタッフ

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ufu.の新米編集者。メンズカルチャー誌でアシスタントを経験後ufu.に転身。 特技は甘いものを食べ続けること。最近は美術館内レストランの限定コラボスイーツにハマっている。