高齢者の運転は危険?運転免許を返納する理由やメリットを考えよう

日本全国で高齢者ドライバーによる死傷事故が多発しており、運転免許の自主返納をすることで、防げる事故があります。今回は、高齢者ドライバーが運転免許の自主返納する理由やメリット、手続きについて解説します。賠償責任は、家族が負うことになるかもしれないので、運転免許の自主返納について話し合っておきましょう。

高齢者の運転は危険?!

近年、重大な交通事故がよく報道されており、高齢者の事故が多い印象を受けます。実際のところ、高齢者の事故数が多いことがデータからも分かっています。

警視庁交通局が令和3年に発表した「原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり死亡事故件数の推移」から、令和2年度の年齢層別免許保有者10万人当たりの死亡事故件数を抜粋すると、以下のようになります。

データを見ても、75歳以上から死亡事故の件数が増えていることが分かります。高齢社会で歳を取ってもハンドルを握る人が多い中、事故を減らすための対策を講じることが必要だといえるでしょう。

【参照】警視庁交通局「令和2年の交通死亡事故発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」詳しくはこちら

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高齢者ドライバーが事故を起こす原因

初心者ならまだしも、運転に慣れているはずの高齢者ドライバーが、なぜ、歩行者の見落としやブレーキの踏み間違いなどの初歩的なミスを犯してしまうのでしょうか。

①視力の低下

ドライバーにとって特に重要なのは動体視力ですが、この視力は車の速度を上げるほど低下するのはもちろん、歳を取るほど低下します。加齢によって暗がりへの順応力も低下し、トンネル内に入ってから暗闇に目が慣れるまでに時間がかかるようになります。

②視野の狭まり

正常な目であれば、片方の目で左右160度ほどの視野を持っているとされています。ところが、高齢になると、緑内障などの目の病気などにより視野が狭まることがあります。特に、交差点を右折するときに対向車や歩行者を見落とすなどの事故を起こしかねません。

【参考】日本眼科医会「視覚障害と自動車運転(PDF)」 詳しくはこちら

③反応力の低下

例えば、急に子供が車道に飛び出してきたら、それを認知して「ブレーキを踏む」「ハンドルでかわす」のどちらかがいいかを咄嗟に判断し、行動に移さなければなりません。こうした反応力は、歳を取るほど低下します。そして、ブレーキを踏んだつもりなのに間違えてアクセルを踏んでしまうケースが少なくありません。

④運転への過度の自信

MS&ADインターリスク総研(株)の調査によると、運転に自信のある人の割合は、20代から60代にかけて減っていくものの、60代から一転して増えていきます。

反応力に優れた20代の若者が約49%なのに対し、70~74歳が約61%、75~79歳が約67%、そして80歳以上ではなんと72%。その自信を支えるのは、加齢による視力の低下などを考慮しない長年の運転経験です。
しかし、今まで安全運転を続けてきたという自信は、これからの無事故を保証するものではありません。

【参考】MS&ADインターリスク総研(株)「高齢者運転事故と防止対策」  詳しくはこちら