毎月、給料から結構な額が引かれている社会保険料。この額はどうやって決まるのでしょう?鍵は「標準報酬月額」。あまり聞きなれない言葉ですが、知っておくと社会保険料が少し節約できるかもしれませんよ?

社会保険料の仕組みをおさらい

社会保険料とは、厚生年金や健康保険の保険料のことを言います。給与から否応なしに差し引かれるため、つい愚痴を言いたくなりますが、セーフティネットとして私たちの生活を支える大切なものでもあります。

厚生年金は、65歳になると受け取れる「老齢年金」、障害を負った時の「障害年金」、死亡した時に家族を守る「遺族年金」と、リスクの要因によって形を変えます。また、病院にかかった時に治療費が3割負担で済むのは、健康保険に加入しているから。他にも健康保険に加入していることで、ひと月の治療費が一定以上かかった時の高額療養費や、しばらく働けない時の傷病手当金などを受け取れます。

よく会社員は、自営業者やフリーランスに比べて恵まれていると言われます。何故なら社会保険制度が充実していたり、社会保険料を会社が半分負担してくれたりするためです。では、社会保険料はどのように計算されるのでしょうか。

(広告の後にも続きます)

社会保険料は標準報酬月額をもとに算出される


社会保険料
【画像出典元】「stock.adobe.com/umaruchan4678」

標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、社会保険料の計算をしやすくするため、毎月の給与などの報酬を一定の範囲ごとに区分けしたものです。社会保険料は月額報酬に一定率を乗じて算出するのですが、月々の報酬は当然人によって異なりますので、各々を計算するのは大変な作業です。そのため4~6月の給与の平均をもとに、月の報酬額を大まかに区分した標準報酬月額に当てはめ、毎月同額の社会保険料を9月~翌年8月までの1年間差し引くのが原則です。

標準報酬月額表と等級の調べ方

標準報酬月額は、健康保険で50等級、厚生年金で23等級に区分され、標準報酬月額表で確認できます。例えば、給与が21~23万円の場合、「標準報酬月額は22万円」で、健康保険は「等級18」、年金は「等級15」ということになります。

「令和5年度保険料額表」全国健康保険協会(協会けんぽ)HPより 

都道府県ごとに料金は違うの?算出方法は

社会保険料のうち、厚生年金保険料は一律18.3%です。労使折半のため、会社が半分負担してくれます。

例えば、標準報酬月額が22万円の人の厚生年金保険料は、

22万円×18.3%÷2=2万130円

となります。

一方、健康保険の乗率は、都道府県によって異なります。福岡に事業所がある会社の健康保険料率は10.36%ですが、40歳になると介護保険にも加入するため、その分を含め健康保険料率は12.18%となります。

「令和5年度保険料額表」全国健康保険協会(協会けんぽ)HPより

例えば、標準報酬月額が22万円の人の健康保険料は、

22万円×10.36%÷2=1万1396円

介護保険に加入する40歳以上なら、下記の金額になります。

22万円×12.18%÷2=1万3398円

このように、厚生年金は一律ですが、健康保険は都道府県ごとに異なります。また、健康保険の乗率は年度ごとに見直しされます。