私たちが納めている所得税は「担税力」が考慮されています。担税力とは「税を担う力」。所得が多い人ほど担税力が高くなりそうですが、必ずしもそうとは言い切れません。所得が多くても、自分自身や家族が病気がちでものすごく医療費がかかり、貯蓄を取り崩している人もいるかもしれません。そのために「医療費控除」があり、担税力を調整してくれているのです。

同じように家族が多い人ほど何かと生活費がかかるため「扶養控除」で税負担が調整されます。多くの人に関係がありながら意外と知らないことが多い扶養控除、特に「子供の扶養控除」について今回は紹介します。

扶養控除とは?簡単に仕組みと要件をおさらい

「扶養控除」とは納税者と生計を一にしている一定の扶養者がいる場合に受けられる所得控除の1つで、年齢や所得などの制限があります。子供を扶養している場合、その子供の所得が48万円以下の場合が対象となります。

今回は子供が主なテーマですが、例えば納税者が親の面倒を見ているといった場合も同様に親の所得が48万円以下であれば扶養控除の対象となります。控除額は以下のように定まっています。扶養している納税者の所得から一定額控除ができるため、その分、税負担が軽減されます。

例えば一般扶養控除で38万円控除の場合、納税者の所得税率が10%としますと、3万8000円の所得税負担の軽減につながります。

なお、配偶者が専業主婦(主夫)やパート勤務の場合、「扶養の範囲内」を意識しているケースが多いですが、配偶者は別途「配偶者控除」や「配偶者特別控除」があるため扶養控除の対象とはなりません。

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所得制限について

「所得が48万円以下の人が扶養控除の対象」と前述しましたが、この「所得」が分かりにくいと思います。日ごろ私たちが意識しているのは「所得」ではなく「収入」だからです。では、この「所得」とはどのように計算できるのでしょうか。

例えば子供が大学生でアルバイトをしていた場合は税務上、「給与所得」となります。「給与収入」から「給与所得控除」を差し引いた額が「給与所得」となります。この給与所得控除額の最低金額は55万円となっています。自営業の方が売り上げから必要経費を差し引くように、会社員やアルバイトの場合も一定の控除を差し引くことができるのです。
よって以下のようになれば扶養控除の対象となります。

(アルバイトなどの年収)-55万円≦48万円

この場合、最も大きな金額は103万円となります。103万円、多くの方にとって一度は聞いたことのある、おなじみの数字ですよね?
所得48万円という基準がやや分かりにくいので一般的に「年収103万円以下」で判断することが多いのです。よってそれ以上アルバイトで稼いでいなければ基本的に扶養控除の対象となります。